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中嶋博行のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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5. 『ホカベン ボクたちの正義』
(2008年)講談社

漫画『ホカベン』は、著者が漫画原作者として2003年から2006年まで連載され、2008年にはテレビドラマ化もされました。本作は、漫画と同じ主人公・設定で書かれた文庫版書下ろしの中編作品です。

主人公の堂本孝は、横浜の大手ローファームの新米弁護士、いわゆるホカベンで、仮採用として同法律事務所の公益部門に配属されます。アメリカナイズされ、渉外・企業買収部門がメインの同法律事務所にある、金にならない公益部門への配属は落ちこぼれとみなされます。しかし、堂本は離婚調停の依頼者である若い母親・橋本雅子と話すうちに、彼女が夫による家庭内暴力の犠牲者であることを突き止め、弁護士として依頼人の利益を守ろうとします。悪賢い夫の弁護士は雅子から娘を取り上げ、その後雅子は夫殺害の罪で警察に逮捕されますが、故意ではなかったという雅子に、堂本は彼女の弁護を務めることを決めます。

公判前整理手続き、検察側の冒頭陳述、証人尋問と裁判は続き、堂本は上司の助けもあり、雅子に有利な判決を勝ち取ります。新米弁護士である堂本の迷いと奮闘、検察と弁護側の法廷内でのやりとりがリアルで読みごたえがありますが、なにより最後の真相の暴露に驚かされる佳作です。

まとめ

法曹三者の内幕や陰謀、弁護士の日常や心情を描いて右に出る者のいない中嶋博行のリーガル・サスペンスは、いずれも読みごたえ十分。著者が寡作であることが残念です。ジョン・グリシャム、スコット・トゥロー、日本で言えば和久峻三のファンであれば、読み逃すことのできない作品達です。

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