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中嶋博行のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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江戸川乱歩賞受賞作が現役の弁護士が描く和製リーガル・サスペンスとして話題になった中嶋博行は、現在も弁護士と作家の二足のわらじを履いています。小説としては、ここに紹介する5作と続編1作が全著作で、その他ノンフィクションや評論の著作もあります。いずれの小説も、現役だから描き得るリアルさに溢れており、さらなる小説の刊行が待たれる作家のひとりです。

1. 『検察捜査』
(1994年)講談社

第40回(1994年)江戸川乱歩賞受賞、同年「週刊刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた本作は、1995年にテレビドラマ化もされました。続編として『新・検察捜査』(2013年、講談社)も刊行されています。

横浜地検の2年生検事・岩崎紀美子は、管内で殺された大物弁護士・西脇文雄殺人事件の担当になります。岩崎は、殺された西脇弁護士が過去に扱った裁判記録から、拷問の跡が残る凄惨な殺人事件の動機となる事件を発見します。西脇の債務不履行により会社が倒産、社長が自殺した事件で、遺族により西脇を訴えた裁判および弁護士会への懲戒申し立てが行われましたが、岩崎はこれが遺族の意思でなく、敵対する弁護士によるものであったことを掴みます。弁護士会の内紛・権力闘争。その陰には、法曹界での検察優位を目論む検察庁の暗躍も関係していました。岩崎は、組織の圧力にも、殺人者の脅迫にも負けません。

現役の弁護士である著者が、専門知識を生かして書いたリーガル・サスペンスには、検察至上主義、検察の公判専従論・独立採用制等の、法曹界の内側にいなければわからない事情が多く散りばめられ、作品の質を引き上げています。19年ぶりに刊行された『新・検察捜査』では、母になりアメリカでFBIの研修も受けた10年後の岩崎が、少年による猟奇殺人と法廷での被告医師殺害の2つの事件を担当、再び社会を脅かす巨悪に立ち向かいます。こちらも圧巻です。

 

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