• MV_1120x330
  • MV_1120x330

今野敏のミステリー小説まとめ

街クリ編集部 街クリ編集部


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大沢在昌『新宿鮫シリーズ』、逢坂剛『百舌シリーズ』等、ミステリーの中でも警察小説はハードボイルドとして多くのファンを惹きつけてきました。しかし警察小説は、硬派な刑事がアクション満載で事件を解決するものばかりではありません。今野敏は、警察官ではあっても人間臭さを感じさせる主人公のキャラクター作りが秀逸な作家です。ここに今野敏の数ある警察小説の中から、評価の高い3シリーズを紹介いたします。

1. 『隠蔽捜査』
(2005年)新潮社

2006年に第27回吉川英治文学新人賞を受賞、シリーズとして今までに8作刊行されており、うち2作は短編集になります。同シリーズは、2007年から2008年、2014年にテレビドラマ化されています。第2作以降は『果断』(出版社はいずれも新潮社)、『疑心』、『初陣』、『転迷』、『宰領』、『自覚』、『去就』。特に『果断』では第2回(2008年)山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞しています。

主人公の竜崎伸也は警察庁長官官房総務課長。東京都、埼玉県で起こった3件の連続殺人事件の被害者が、いずれも少年時に殺人を犯し少年法に守られ短期に社会復帰した者達であったことが判明し、竜崎は被害者の事情を隠すようマスコミ対策に奔走します。そこへ“犯人が現職の警察官で、逮捕・自供を始めた”との知らせが届く一方、息子がヘロインを吸っていたことが分かり、竜崎は息子の処遇に悩みます。竜崎の幼馴染みで警視庁刑事部長である伊丹俊太郎は、警察庁の命令で現職警官による連続殺人事件を迷宮入りさせるよう画策を始めます。周りから変人と言われても正論を曲げない竜崎は、伊丹に「事実は隠蔽してはならない。事実をありのままに公表し、警察は謝るべきだ」と主張し、自身の息子を自首させることを決意します。

このシリーズの醍醐味は、この竜崎の誰に対しても原則・信念を貫く性格で、第2作以降の7作は、左遷された竜崎が大森署の署長になってからの事件解決が描かれます。『果断』では、着任間もない竜崎が立てこもり事件で無抵抗の犯人射殺の罪を問われますが、伊丹や署員の協力の下真相を究明し、汚名を注ぐ傑作です。

 

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP