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中嶋博行のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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2. 『違法弁護』
(1995年)講談社

本作の舞台は、アメリカ型ローファームとも言える横浜のエムザ総合法律事務所で、主人公はこの法律事務所の1年生弁護士・水島由里子です。弁護士人口増員が現実になり、多くの弁護士が競争激化の荒波に飲まれようとしている一方、水島の夢はローファームの経営に携わるパートナーになることでした。

北米企業との渉外業務に昼夜なく働いてきた水島は、突然並行輸入を行うアゼック社の法的危機管理を行う訴訟部門に異動になります。水島は、手始めに同社倉庫の差し押さえ執行現場に立ち会いますが、同倉庫前は警察官と税関職員が銃撃で殺された現場でした。危険を感じた水島は、仕事を命じたシニア・パートナーに目的を問いただしますが、将来パートナーに推薦することを約束され、口を閉じてしまいます。

アゼック社関連の資料から、同社に資本的に結合した別会社があることを突き止め、また密輸の疑いや取引先、輸入方法を掴みますが、水島は知りすぎたことにより命を狙われます。事件の捜査に県警だけでなく最高検公安部まで加わり、事件の陰に検察内部の腐敗や内部抗争も見え隠れて、最後にローファームのシニア・パートナーの野望が明らかになります。野心に満ちた女性弁護士のほろ苦い挫折で本作は幕を閉じます。

 

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