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「燃えよ剣」壬生の狼・土方歳三を、岡田准一副長は伊達で名乗らない

ハマダヒデユキ ハマダヒデユキ


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あなたの新選組は、どこから?


出典:Amazon.co.jp

1969年の映画「新選組」?
1977年のドラマ「新選組始末記」?
2004年の大河ドラマ
つかこうへいの「幕末純情伝」?
幕末奇譚 SHINSEN5」や「PEACE MAKER 鐵」、「銀魂」が初めてだったという方もいるでしょう。

それほど新選組は、日本人のDNAに深く刻まれた「剣客集団」だと言えます。


出典:IMDb

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中でも鬼の副長・土方歳三の人気は、源義経や宮本武蔵と並ぶ侍の代表格と言って刺し支えないでしょう。

冷酷無比、戦闘狂、かと思えば仲間想い、忠義の士、稀代の色男、あのように生きあのように死にたい男。史実や創作入り乱れてその人物像は様々ですが、魅力あふれる彼をこれまで沢山の名優達が演じてきました。

そしてこの秋、新たな土方歳三像が生まれました。


出典:映画.com

燃えよ剣司馬遼太郎の名作小説を、岡田准一主演で映画化。

「ザ・ファブル2」も大ヒットし、勢いに一切衰えがない彼が如何にシン・ヒジカタ、そしてシン・シンセングミを演じたのか。先に個人的評価を言ってしまうなら、「現時点における、新選組作品の最高峰」だと思っています。

他作品との比較なども交えながら、血が沸騰するその魅力を今回は考察。それでは皆様……

御用改めであるっっっ!!!

研ぎ澄まし、重ね続けて幾星霜。
岡田准一と原田眞人が挑んだ大勝負


出典:「燃えよ剣」公式twitter

「もともとは、中学の社会教師になりたかった」そう語る岡田の歴史愛の始まりは、大阪府枚方市。彼が生まれ育ったこの街は、樟葉など「日本書紀」「古事記」に多くの地名が残っている土地なのです。

実家の前を走る通りの名前ひとつでも、調べると何かしらの歴史が出てくる。調べるほど、歴史の舞台ですから、面白いんです。さらに司馬さんの小説を読むようになると、そこに物語があるんだと思うようになりますよね。それで歴史にはまったんですよ。
夕刊フジ(産業経済新聞社)2021年10月15日掲載・独占インタビューより抜粋

そんな情熱もあってか、現在シーズン10が放送されているNHKのドキュメンタリー「ザ・プロファイラー 〜夢と野望の人生〜」で司会を担当。9年間にわたり「クレオパトラ」や「リンカーン」など世界中の偉人について語ってきました。


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そのちょうど1年目に、初時代劇の主演として公開されたのが「天地明察」(`12)でした。のちに結婚する宮崎あおいとも共演した本作で、彼が演じたのは日本の暦を作った男・二代目安井算哲(のちの渋川春海)。ですが70代で亡くなった晩年は描かれておらず、まだあどけなさと青さの目立つ青年のイメージは残ったままでした。


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しかしその2年後、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(`14)にて豊臣秀吉の右腕だった男の生涯を、一年に渡って熱演。終盤からは頭を剃り、野心に燃える老将の姿を視聴者に見せつけ、青々しさからの脱却に成功します。


出典:Amazon.co.jp

そして岡田自身の得意分野であるアクションが、存分に発揮されたのが「散り椿」(`18)。「SP 警視庁警備部警護課第四係」シリーズ(`07〜`10)などの経験とフィリピン武術「カリ」、ジークンドー、総合格闘技のUSA修斗で得た技術を、この映画では剣豪「瓜生 新兵衛」として殺陣に活かすことができました。

こうしてドキュメンタリーで培った「歴史への洞察」、大河ドラマで得た「英雄の一生」、そして散り椿で「殺陣アクション」と時代劇経験を贅沢に重ねてきた岡田。40代という成熟した年齢にもなり、

日本史が誇る英雄・土方を演じるための最高のベース

が完成していたと言えます。


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そんな岡田と「検察側の罪人」(`18)の原田眞人監督が初めて組んだのが「関ヶ原」(`17)。

日本のいちばん長い日」(`15)で終戦の日に起きた宮城事件の裏側を映像化しようとし、多くの支持を得た原田監督が日本のもう一つの重大事件「関ヶ原の戦い」を描こうとした意欲作です。

ですが迫力ある合戦シーンと同時に「会話のスピードが速すぎて聞き取れない」「ヒロインの存在感が薄すぎる」などツッコミどころも多かったのが正直な所。この映画を経て3つ目の歴史的事件「幕末」に挑むことは、原田監督と岡田にとっては一つの勝負でした。特に岡田にとって「燃えよ剣」の土方歳三役は「関ヶ原」の石田三成の宿敵・徳川家康を演じた役所広司が1990年に演じた大役でもあったのです。


出典:TSUTAYA.co.jp

役所とは「蜩ノ記」(`14)でも共演しており、3年後に切腹する男とそれを見守る若者をそれぞれ担当。

この作品で日本アカデミー賞・最優秀助演男優賞も受賞した岡田には、「偉大な先輩の後を継ぐ」という意味でも、土方役は強い思い入れがあったのかもしれません。


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容赦なく斬り、容赦なく散る。
脇を固めし強者たちが宿す「狂気」

そんな2人の大勝負の結果を述べる前に、彼らの脇を固める役者たちについて触れたいと思います。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

まず新選組局長・近藤勇を演じた鈴木亮平

彼がこの役をオファーされたのは主演の大河ドラマ「西郷どん」(`18)終了直後でした。西郷隆盛と薩摩藩の宿敵を演じることに、とても葛藤したそうです。


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自分としては、幕末をもう一つの側面から捉えてみたい、という好奇心はありましたが、大河ドラマの一年半は鹿児島の人たちと一緒にやってきたので、その方たちはどう思うか。また、新選組のファンの方たちは、そんな僕を受け入れてくれるのか。すごく悩みました。その気持ちを素直に相談すると、「迷わずに、やりなさい」と背中を押していただいて。
公式パンフレット・鈴木亮平インタビューより抜粋

鈴木といえば上記インタビューのような「人の良さ」のイメージが強いですが、本作の近藤は少し違います。確かに仲間たちには温かな眼差しを向ける一方で、敵には非常に暴力的。真面目ゆえに容赦のない“狂気”が宿っているのです。


出典:シネマトウデイ

暴力的な鈴木亮平といえば、絶賛トラウマばら撒き中の「孤狼の血 Level2」(`21)上林。公開延期により「燃えよ剣」より先の公開となりましたが、撮影スケジュールでは「孤狼の血 Level2」が後となっています。つまりこの近藤勇は

善人・鈴木亮平から「最凶の男」上林に脱皮する中間点

として観ることもできるのです。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

新選組の暴力担当として忘れていけないのが、芹沢鴨。

様々なトラブルを起こした初代局長を演じる伊藤英明の悪役といえば、「悪の教典」(`12)の蓮実聖司がトラウマになっている人も多いことでしょう。


出典:IMDb

普段は善良な教師を装うサイコパスだった蓮実と違い、芹沢は自制心のきかない酒乱。暴行だけでなく濡れ場まで披露し、その異常性で大暴れします。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

そして近藤・芹沢以上に見事な狂気を魅せてくれたのが、山田涼介演じる沖田総司です。

草刈正雄演じる凛々しい「沖田総司」(`74)、堺雅人の常に笑みを浮かべた狂気性もある「壬生義士伝」(`03)、藤原竜也による人懐っこい大河ドラマ「新選組!」(`04)……美少年剣士という共通点はあれど、彼の人物像は作品ごとに二転三転します。

そんな

多面的な沖田の各要素をバランスよく取り入れ、洗練

させたのがこの山田涼介なのです。凛々しく、人懐っこく、そして狂気的。正直、ここまで見事に沖田にハマるとは思っていませんでした。

知れば知るほど理解に苦しむ人物でした。芹沢鴨の暗殺時は、昨日まで可愛がってもらっていた人を先導して殺しに行く。新選組のなかで一番怖いのかもしれないと思ったシーンです。優しさと冷酷さを併せ持つ、掴み所のない人物だからこそ、土方さんや近藤さん、源さんとのシーンはできるだけ温かくしようと心がけていました。
公式パンフレット・山田涼介インタビューより抜粋


出典:IMDb

「グラスホッパー」(`17)でも狂気的な役を演じており、机に手を置いて、その指と指の間を高速でナイフで突き刺す技を披露しています。

さらに本作では結核で死に至る姿を再現すべく、8kgのダイエットをストイックに敢行。沖田の全盛期だけでなく、病に倒れて以降にもここまでこだわった役者は珍しいのではないでしょうか。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

そんな彼らと金田哲(藤堂平助役)や松下洸平(斎藤一)らに、岡田は自らのアクション技術を徹底的に伝授。「各々らしさを増幅した殺陣をつけて、残った殺陣を土方につけた」そうで、個人個人の狂気がさらに輝くことになりました。ファブルに鍛えられたサイコパス軍団とか、絶対夜道で会いたくありません。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

そして最後にもう1人、見事な狂気を演じた男を紹介せねばなりません。それが監察役・山崎丞を演じたウーマンラッシュアワー・村本大輔です。

「饅頭饅頭……小判小判……」

と、凄まじいマシンガントークで周囲を撹乱。他の隊士とは違う狂気を披露し、「燃えよ剣」の新選組をより多彩にしています。

スピーディーに一部始終を網羅。
濃厚かつ、最恐の「池田屋事件」

そんな猛者を揃えた映画「燃えよ剣」。なぜこの作品を「現時点における、新選組作品の最高峰」と感じたかというと

■ 回想録にすることで、新選組の一部始終の網羅に成功
■ 新選組からヒーロー性を削減することで、濃厚な映像が誕生
■ 「武」だけでなく「美」にも触れた新たな土方像を確立

の3つが高評価したポイントです。

 

まず新選組の歴史を

① 江戸での近藤・土方らの青春時代から京都に上るまでの「誕生期
② 浪士組結成・芹沢鴨粛清から池田屋事件までの「繁栄期
③ 蛤御門の変から山南敬助脱走・伊東甲子郎一派との対立までの「迷走期
④ 鳥羽伏見から五稜郭の戦いまでの「滅亡期

だと仮に4分割したとしましょう。

この長い一連の流れを映像にする場合、尺としては2クール以上の連続ドラマか、2016年までテレビ東京で放送されていた10時間以上の「新春ワイド時代劇」といった長期的な尺が必要でした。


出典:東映ビデオ

例えば「新選組鬼隊長」(`54)の場合は②、③と④の途中の近藤処刑までを収録。


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中井貴一主演の「壬生義士伝」(`03)は③④で活躍した隊士・吉村貫一郎の人生を描いた作品となっています。


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そして栗塚旭主演の映画「燃えよ剣」(`66)は、①と②のみを90分で扱った作品。当時多くの人々を魅了した栗塚の土方は連続ドラマ版「燃えよ剣」、「新選組血風録」(`65)でも登場していますが、この2作が全ての新選組の歴史を収録できたのはいずれも長い放送枠があったからこそです。

しかし本作では①〜④を148分に収めることに成功しています。そのキモとなったのが「五稜郭決戦を前にした、土方の回想録」という形式で話を展開したこと。

冒頭からマゲを落とした岡田による「あの頃はバラガキと呼ばれて~」と海外の兵士に語る映像から始まることにより「ああ、最終的にこの姿にたどり着くまでを描くのか」と観客に即伝わるようになっています。


出典:映画.com

無論この形式だと、「関ヶ原」と同じく展開はやや駆け足気味。

1966年版のヒロイン・佐絵の存在や蛤御門の変、戊辰戦争の幾つかはカットされ「ダイジェスト版・新選組」と低評価を下す声もあるとか。しかし前作の弱点「早すぎて聞き取れない会話」が聞き取りやすくなっており、また会話中もカメラがぐるぐる動き、話が残りやすく改善されています。(そして役者も会話中ぐるぐる動きます。岡田直伝の「カリ」をしながら。恐い

さらにこれまでの新選組と大きな差別化が図れたのが「ヒーロー性の削減」。新選組の隊服といえば、浅葱色のダンダラ模様の羽織が有名ですが、本作では黒装束を採用しています。


出典:映画.com

「実は新選組隊士は、ダンダラ模様の羽織を着ていなかった」というのは信憑性の高い説ですが、映画で採用されてるのは「御法度」(`99)のみ。それゆえに黒服を着たことで、近年の作品に多い「新選組=京都の平和を守るヒーロー」というイメージからガラリと変わっています。

また前述していますが、本作ではキャストの宿す狂気と岡田のアクションが相まって暴力性が大幅に強化。

例えば芹沢鴨暗殺シーンは、従来は多かった鍔迫り合いではなく、容赦のない滅多刺しに変更されています。それまで強者だった芹沢が一方的に嬲られる姿は、恐怖を超えて見応えがある光景に。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

そしてその流れを引き継ぎ展開されたのが、新選組の最大の見せ場「池田屋事件」です。時代劇に多い「斬った後に残心をとる剣戟」ではなく「ひたすら相手の命を奪う惨殺劇」として進行。飛び散る鮮血、剣の衝突音、肉のえぐれる音。とにかくこれまでになく恐ろしく濃い「池田屋事件」として完成されているのです。

近藤は、宿の者に「御用改め」であると告げると主人池田屋惣兵衛が慌てて二階に駆け上がり、後を追って近藤が二階に上がると、そこには集会中の諸藩の倒幕派二十数名がいた。沖田は立ち向かってきた男を斬り、すぐに乱闘になった。
池田屋騒動顛末記(「旅籠茶屋・池田屋 はなの舞」店頭看板)より抜粋


出典:Wikipedia

その恐怖性をより増幅したのが、滋賀県彦根市にゼロから河原町通りなど全長125mの周囲まで作り上げたオープンセット。現在は居酒屋さんになっている実際の「池田屋」の見取り図を見ても、とても納得できる空間となっています。

これにより過去作では「間合いをしっかりとって斬り合う」映像が多いのに対し、本作では「至近距離で殺し合う」映像という非常にリアルのあるものに。

肥後の宮部鼎蔵が、一同かたまって廊下にあふれ出ようとする同志を制し、室内の広い場所に近藤をひきこんで多勢で討ちとるよう指揮した。
近藤は、敵が廊下に出てこないため、再び座敷に入った。
宮部と、双方中段で対峙した。宮部も数合戦ったが、近藤の比ではなかった。面上を割られ、それでも余力をふるって表階段の降り口までたどりついたが、ちょうど吉田稔麿を斬って駈けあがってきた沖田総司に遭い、さらに数創を受けた。宮部はこれまでとおもったのだろう、
「武士の最期、邪魔すな」
と刀を逆手ににぎって腹に突きたて、そのまま階段をまっさかさまにころげ落ちた。
司馬遼太郎全集 第六巻「燃えよ剣」司馬遼太郎・著(文藝春愁)より抜粋

当時の死闘を「完全再現したかった」という原田監督のこだわりの結晶だと言えるでしょう。

剣に生きた男の傍にあった「美」の世界。
時代を超えて、もののふ達はなお猛る

このように「スピーディーな展開」ながらも「ヒーロー性が減り、リアリティのある描写」が展開されている本作。ここからは最後の高評価ポイントについて触れたいと思います。


出典:wikipedia

土方といえば

「正義感があり、それに加え一徹者、物の判断の見極めはするどい」(「新選組、京をゆく」木村幸比古・著より)、
「ときには人を畏怖させ、ときには人を感激させる、剛と柔の持ち主」(隊士・中島登の発言より)、
「土方歳三という男は、軍議などで部屋に入ってくると清らかな風が流れるような、そんな爽やかな人物であった」(榎本武揚「入室但清風」より)

など、いかに英雄視されていたか知ることができる文献・証言が多数残っています。


出典:NHKスクエア

NHK大河ドラマで山本耕史が演じた彼の最期では、正義感・仲間想いの側面を強調。凶弾に撃たれながらも近藤の幻を見て微笑む場面が、とても印象的でした。


出典:映画.com

一方で、岡田が演じた土方の終盤は、とても淡々としています。

江戸でのやんちゃ時代を経て、京都で敵味方を次々と葬り、そして近藤や沖田らを喪ってたどり着いた北海道。フランス将校から「あなたは最後のサムライだ」と絶賛されても、どこか醒めた雰囲気で対応しています。

幕末と同時期の音楽家ジョルジュ・ビゼーの「耳に残るは君の歌声」のBGMも流れて、哀愁が漂う岡田版・土方。「正義を貫き続け、最後まで活路を探す英雄像」よりも「あらゆる仲間や感情を失い続け、虚無の境地になった1人の男」として今作は描かれているのです。

そんな土方が感情を取り戻すのが、想い人・お雪(柴咲コウ)の来訪です。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

色男としても知られ、様々な女性から愛された土方ですが、このお雪は司馬遼太郎氏によるフィクションの人物。ゆえに様々な解釈ができますが、彼女が登場するシーンは土方の中にあった「美」の象徴だったのではないかと推測されます。実際、彼女と土方の交流場面では京料理を味わいながら、墨絵や俳句が数多く登場しています。

「春ハはるきのふの雪も今日ハ解」

実は「豊玉」という雅号もある俳人だった土方。それも考えるとお雪とのシーンは、土方の「他人には見せない芸術・美しいものを愛でる」隠れた内面を表していたのかもしれません。このように英雄としてだけでない、1人の男の顔も本作では描かれているのです。


出典:wikipedia

石清水八幡宮二条城など多くの国宝級の場所がロケ地になった本作。中でも、土方とお雪が語りあう奈良県・長谷寺に咲く桜は特に絶景です。そしてこの桜は、土方が息絶えたシーンでも降り積もり、彼の「命」の象徴とも解釈できます。

土方が遺した言葉に「男の一生は、美しさをつくるためのものだ。俺はそう信じている」という一文があって、その言葉を軸に土方歳三を構築できる、演じられるのではないかと思いました。バラガキ時代から歳を重ねて35歳で亡くなるまで、彼は美意識を貫き通した人でもあります。
公式パンフレット・岡田准一インタビューより抜粋

あと4年後には、アクションで達人の域に達するという岡田。その「武」の道のまだ途中である今だからこそ、土方の一生と「美」を演じきれたのかもしれません。

こうして積み重ねてきた歳月、各キャストの持つ狂気をベースとした3つのポイントを踏まえ完成した「燃えよ剣」。


出典:Amazon.co.jp

原田監督自身がかつて出演した「ラストサムライ」(`03)以上に侍の生き様を見事に表現しており、土方の子孫の方も絶賛。参加メンバー、特に公開期間中「V6」という長年の友と別れ新たな一歩が始まった岡田には、忘れられない作品になったことでしょう。

一方で「やはり2時間半に詰めるのは無理があったのではないか」「自分が推す新選組作品の方が面白い」という声があるのも事実。それを否定する気もありません。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

るろうに剣心」、「ドリフターズ」、「ゴールデンカムイ」、「賊軍・土方歳三」……現在でも多くの派生作品が作られ、生まれ変わり続ける新選組と土方歳三。どれもが面白く魅力的で、だからこそ

新選組を愛するすべての人にこの「燃えよ剣」を観てほしい。本当に現時点の最高峰作品なのか、心ゆくまで語り合ってほしい。


出典:「燃えよ剣」公式twitter

本作を観た次の作り手が、さらなる新選組の物語を世に送り出そうとする。

まだ誰も見たことがない、土方歳三を描こうとする。

その熱意が燃え続けるかぎり、「壬生の狼」は永遠に不滅なのです。


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[イラスト]清澤春香

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