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薬丸岳のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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薬丸岳のミステリーは、多くが犯罪被害者の目線で書かれています。それぞれの作品に、犯罪被害者が加害者への怒りと憎しみ、世間の仕打ち、司法の壁に苦しむ姿と、どのようにそれを乗り越えたり乗り越えられなかったりするかが描かれているため、時に救いがない場合もあります。しかし、それでも全作を苦も無く読ませてしまう筆力を持つ作家ですので、ミステリー好きには放っておけない作品ばかりです。

 

1. 『天使のナイフ』
(2005年)講談社

第51回江戸川乱歩賞受賞作で、2015年にテレビドラマ化もされたデビュー作です。著者が「コンクリート詰め殺人事件」から興味を持った少年法への疑問が、この作品の骨格になっています。

主人公・桧山貴志は、4年前妻を13歳の少年3人に殺されました。犯人達は少年法に守られ刑に服すことなく更生施設に送られ、すでに社会に復帰しています。被害者遺族でありながら加害者が少年であることから、彼らが誰で、なぜどのように罪を犯し裁かれたかも知ることができなかった桧山は、少年の一人が殺されたことがきっかけで刑事の訪問を受けます。

更生の目的で施設に送られた元・少年達は、本当に更生したのだろうか、自分にかけられた嫌疑とその疑問の答えを探すために、桧山は彼らの足跡を追います。そして、殺人未遂と第2の殺人が起こり、桧山は妻が殺されたのは単なる少年犯罪ではなく、幾重にも積み重なった犯罪の連鎖であったことを知ります。

終盤一気に多くの伏線が明らかになりますが、救いは最後に桧山が希望をもって歩き始めることです。少年法という興味あるテーマ、重層なプロット、いずれもが江戸川乱歩賞受賞にふさわしい良作を作り上げています。

 

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