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薬丸岳のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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2. 『虚夢』
(2008年)講談社

デビュー作で少年法をテーマにした後も、著者は犯罪の被害者・加害者と社会を問うた長編を刊行し続けました。本作は、統合失調症を病む犯人に娘を殺され、妻が心と体に傷を負い、挙句の果てに離婚に至った小説家・三上孝一が主人公になります。

娘を殺した犯人・藤崎裕之は、12人をも死傷したにもかかわらず、『心神喪失者の行為は罰しない』という刑法39条により、罪には問われませんでした。事件から4年後、三上は離婚した妻・佐和子から、藤崎を見たとの電話を受けます。事件後、小説が書けず、酒に溺れながら風俗雑誌のライターをしていた三上は、これをきっかけに藤崎を追いかけ、また再度精神に異常をきたしている佐和子を守ることになります。藤崎もまた、心に傷を持つ風俗嬢ゆきと接し彼女の危機を救うものの、再び統合失調症が悪化してゆきます。

故無い殺人の被害者遺族の苦悩、司法に対する絶望、刑法39条を逆手にとって試みる殺人等、この作品もまた現在の刑法の矛盾を世に問う作品になっています。

 

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