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中嶋博行のミステリー小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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4. 『第一級殺人弁護』
(1999年)講談社

2002年から2005年にかけてテレビドラマ化された短編集です。前作までの法曹3部作が、全て長編、女性主人公、法曹界さらに国際的陰謀を扱う重厚な作品であったのに比べ、本作は個人で法律事務所を構え、月末の家賃や秘書の給与支払いにも汲々としている零細弁護士を主人公に、「不法在留」「措置入院」「鑑定証拠」「民事暴力」「犯罪被害」の5作を収録しています。

横浜の弁護士事務所で小口の法的サービスを薄利多売で提供している京森英二は、時間ばかり拘束され、安い日当しか受け取れない当番弁護士制度を呪っていました。今日もまた、事務所のFAXから当番弁護士の依頼が吐き出され、京森は足取り重く被疑者の接見に向かいます。京森は、一見やる気がなく、面倒を避けてばかりいる小心者に映りますが、その実、高い調査費を自腹で支払い、悪徳企業の内実を暴いたり、囮になって撃たれたり、専門家でもないのにDNA鑑定を排斥したり、裏金融と詐欺の正体を見破ったりと、なかなか優秀な刑事弁護人なのです。この京森の活躍が、毛色の違う5つの殺人事件とともに描かれた短編集は、彼の情けなさも含めて血の通った弁護士ドラマで魅力満載です。

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