3. 赤い服の男とナポレオンの関係
絶大な権力を誇った(下町の方ではない)ナポレオン。栄華を極めて派手に没落するという、1人諸行無常を体現した偉人ですが、彼の数々の伝説の中にこんなものがあります。
1810年代、ロシア遠征の失敗により追い詰められていたナポレオンは、側近に「誰が訪ねようとも余は面会しないのでヨロシク」と言いつけ、引きこもり生活を送っていました。
そんなある日、ナポレオンの元に1人の訪問者が現れます。一応報告しに来た側近に「だから面会しないって言ってるじゃん」と憤るものの、側近の一言によって彼の態度は一変します。
「赤い服の男が来たって言えば分かるって言ってるんですけど・・・」
その言葉を聞いた瞬間、ナポレオンは顔面蒼白になり「すぐに通しなさい。くれぐれも丁重に、失礼の無いように。そして面会中は誰も近づけてはならぬ」と。態度の急変に驚いた側近ですが、それ以上にあのナポレオンが狼狽しているという現実に何より驚きます。「これはただごとではない」と感じたのでしょう。すぐに赤い服の男をナポレオンの部屋に通します。
部屋の中からは訪問者のゆったりとした重々しい声と、ナポレオンの悲哀に満ちた懇願するような声が漏れ聞こえていたそうです。少しだけ聞き取れた会話は「君は堕落してしまった・・・猶予・・・3ヶ月だけ・・・」。
その3ヶ月後、偶然の一致なのか、それとも赤い服の男の予言通りなのか、ナポレオンは島流しにされることとなります。
この赤い服の男が何者だったのかについては、多くの見解がありますが、かつてフランスの社交界を騒がせ、紀元前から2000年代まで、さまざまな場所に登場することで知られる都市伝説の代表的人物、サンジェルマン伯爵なのではとまことしやかに言われているのです。
4. 謎の人物、サンジェルマン伯爵
サンジェルマン伯爵が出てきましたので、少し彼についての伝説を語ることにしましょう。
自分は「不死の存在」であると言い張り、ギリシア語からラテン語、サンスクリット語、アラビア語、中国語はもとより、ついでに仏・独・英・伊・葡・西に堪能であり、ヴァイオリンだってお手の物、作曲家としての才能もあり、錬金術にも長けています。
ダイヤモンドの傷を取り去るくらいなら朝飯前で、年齢は約4000歳、「ネブカドネザル大王の築いたバビロンの都を見たことがある」と言い張り、キリストが起こした奇跡にも立ち会っています。
不食としても名高く、丸薬を口にする以外人々は彼が食事をする姿を見たことがありません。1784年に死去するものの、なんと翌年華麗に復活、フリーメイソンの会合やチャーチルの元に現れる、神智学でお馴染みのヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーが何度も伯爵に会ったと言い張るなど、多数の目撃例が報告されています。
近年ではタイムトラベラーとして有名なジョン・タイターは実はサンジェルマン伯爵ではないのだろうかと言われていましたね。
これだけ見ると完全に中二病ですが、ただ単純に中二病というだけではここまで有名にはなれません。現役バリバリの頃はフランス社交界を騒がせていたことは確かなようで、今なお謎の多い人物であります。