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アートディレクターと人の使い方【連載】広告代理店の現役アートディレクターが語る

中村征士 中村征士


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ただ、このやり方はアイデアの多様性が得られる分、ゴール設定型に比べて時間がかかってしまうのです。スタッフが出してきてくれたアイデアや表現をひとつひとつ吟味して、さらに良くするための指示が必要だったり、全部使いものにならなかったりします。アートディレクターも「ダメなこと」だけをクリアにしているものの、ゴールは見えていないことがあるので「うーん、何かちがうなぁ・・・」みたいなことしか言えない。コンセプトには合っているし表現としても何も間違っていない。でもそれがベストか? という自問自答に自信をもってイエスといえない状態です。自分であれこれ考えて提案しても「ゴール」に近づいている感じがしないので、何度かダメ出しをもらって自分の引き出しが空っぽになってからが本当に大変です。

普通はゴールを設定しますが、それでいいのか? とも思います

ある程度の正解を自分の中に設定してスタッフに動いてもらうか、自分の外側に正解を求めて砂漠の中から一粒の金を見つけるようにスタッフにハードワークを課すか。僕は前者のやり方がほとんどです。ゴールを設定しておくとスタッフに裁量を渡しやすく、大きく外れていなければGOを出してスタッフがやったことを尊重できるからです。そうすると自分で考えて動くスタッフに育っていくことが多いです。当然うまく回らなかったときは責任をとらなければなりませんが、その成否の境界をできるだけ広げていくことでコントロールされた多様性に近づいて行けるかもしれません。

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