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アートディレクターと人の使い方【連載】広告代理店の現役アートディレクターが語る

中村征士 中村征士


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例えば一枚のポスターをつくるにもたくさんの人が関わります。ステキなコピーを書いてもらったり、伝えたいイメージを具現化してくれる写真を撮ってもらったり、衣装や小道具を探してもらったり。人の気持ちを少しでも動かすポスターをつくるというひとつの目標に向かって、様々なスタッフに働いてもらうのを仕切るのがアートディレクターの仕事です。

そして、スタッフに何かアイデアを出してもらったりつくってもらったりする時の指示によってスタッフの動き方が違ってきます。この「指示」がスタッフの行動の根っこになるので、結構重要です。今回は僕が知っている“人の使い方”の2つのやり方を紹介しながら、見つけたことを書こうと思います。

アートディレクターの“人の使い方”

1. ゴール設定型

スタッフに分かりやすいゴールを設定してあげることで、考えやすくしたり行動しやすくするやり方です。

例えば、「今回のポスターは、アップルみたいな超スッキリしたものにしよう」といった比較対象を設定するようなことです。そうすると、写真は高精細でスタティックな商品写真でコピーは短くて無くてもいい・・・みたいに仕上がりのイメージを共有しやすくなります。ブレが少なくてムダな労力がかからない効率的な仕事の進み方になります。

このやり方で注意しなくてはならないのは、ゴールが具体的すぎるとそれの周辺しか考えなくなってしまうことです。仮に女性タレントの衣装を探してもらう時に、ブランド名や形や色を写真で出してしまうと、そこから大きく外れたものは出てきませんが、思いもよらなかったようなステキなものは出てこないでしょう。コンセプトや広告の目的は明快に伝えて、それ以外の部分はあえて抽象的な表現にとどめて、相手の想像力を広げられる余白を残しておく方がいいものが出てくる可能性が高いし楽しいです。

スタッフはやるべきことがハッキリしていて、良い悪いの判断基準が(比較的)分かりやすいこのやり方は、モーチベーションを保ちやすい気がします。打ち合わせごとに自分のアイデアや表現が認められる感じがするし、もしも的を外していてもこうすればゴールに近づける(気がする)と分かるからです。

街角のクリエイティブ ロゴ


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