4. 『儀式』
(2014年)講談社
本作では、マリーノがCFCの捜査主任を辞めてケンブリッジ市警の刑事に転職しています。クリスマス直前、MITの大学院生であるゲイル・シプトンの死体が発見されます。遺体は不自然な姿勢を取らされており、全身に蛍光物質が見られ、サイズの合わないパンティを履かされていました。これがワシントンDCでキャピタル・キラー事件と呼ばれている連続殺人事件の特徴と一致するのですが、FBIボストン支局長であるエド・グランビーは、この事件をワシントンDCの連続殺人事件と切り離そうとして市警にもCFCにも情報を伝えません。さらに、ベントンを貶め、捜査から外そうとします。
ゲイルは、投資運用会社ダブルSに対して訴訟を起こし、さらにルーシーとも共同プロジェクトを進めていましたが、実はルーシーを騙している信用のならない人物でした。また、グランビーはワシントンDCの連続殺人の犯人をDNAデータから特定しますが、ケイの調査からDNAデータの改竄が疑われます。そして、ダブルS本社で3人が殺害された事件でも、FBIが捜査を主導し真相を曲げようとしたことから、ケイ、ベントン、ルーシーは立ち上がり、真実を明らかにします。近作が主人公達の内向的な心理描写ばかりであったのに比べ、推理小説としても読みごたえがありました。