近年、鉛筆を模したシャープペンシルが人気である。「大人の鉛筆」と銘打たれた商品もあるほどだ。一時期グリップの太さを極めていたシャープペンシルは、鉛筆とは相容れないものと思われていたが、最近はどんどん鉛筆に寄ってきている。シャープペンシルがどのような経緯を辿って鉛筆に近づいていったのか考えてみたい。
疲れを吸収するグリップの登場
2000年代初頭、最も書きやすいと言われているシャープペンシルはパイロット「ドクターグリップ」だった。それまでグリップの持ち味を謳った商品はドクターグリップくらいしかなかった。
そんな世の中に風穴を開けたのが2003年に発売された三菱の「アルファゲル」だ。グリップには、ものすごく耐久性のある柔らかいゲル状の素材が使われた。その持ち心地は今までにない柔らかさで、シャープペンシル界に激震が走った。しばらくはドクターグリップとアルファゲルが2強として王位の座を競うこととなる。
ドクターグリップもアルファゲルも、シャープペン本体は太さがあり、軽い筆圧でもしっかりとした筆線が書けるのが特徴だった。その流れが鉛筆に傾いたのは2008年。いつどんな時でも削りたての鉛筆のような書き味のシャープペンシル「クルトガ」が誕生したのだ。