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イカした盤からおもしろ盤まで、顔面アルバムジャケットの世界

加藤広大 加藤広大


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インパクトがある作品は、過去のものが多いけれども

過去から現在において、顔ジャケはそこまで大きな変化、進化を遂げていません。もちろん、フォント選びの違いや色使い、パッケージ化された際のインクのノリなどは、その時代によりさまざまです。まあ、顔を配置するだけですし、写っているのは大体人間なんで当たり前なんですが・・・。

ただ、最近の顔ジャケは良く言えばキリッとした、カッコイイものが多く、悪く言えば無難で、優等生のものが増えたなと感じます。逆に、昔の顔ジャケデザインは良く言えば個性的で勢いがあり、存在を感じさせるものが多く、悪く言えばなぜその写真を使ってしまったのかまったく理解ができない、デザイン的にトゥーマッチ過ぎたりしています。

しかし、やっぱり数十年経っても「ああ、あの顔w」と記憶に残るのは、後者のインパクトがある顔ジャケです。

たとえばこちら、ジョー・コッカーの『With a Little Help from My Friends』、1969年の作品です。

 
その視線の先に何があるのか? を考えるよりも先にとんでもないインパクトで目に飛び込むご尊顔は、まさにトゥーマッチの極みでありながらも、収録された珠玉のロックナンバーと比較しても、全く遜色ない強度を誇るアートワークです。

もう一枚、今度はアーティスティックな作品を。ピーター・ガブリエルの1980年作品。『PETER GABRIEL III』です。

 
通称「Melt」と呼ばれているこのアルバム、文字通り顔面が溶けているようなアートワークが印象的です。デザインを手掛けたのはイギリスのデザイングループ「ヒプノシス」。『Pink Floyd』の一連のアートワークを手掛けたことで余りにも有名ですね。ポラロイドカメラの現像液が乾ききる前に擦り、融解しているような像を作り上げています。

アーティスティックといえば、日本にも素晴らしい顔ジャケアートワークが存在します。それが浅丘ルリ子の芸能生活15週年を記念して制作された1969年作、『浅丘ルリ子のすべて 心の裏窓』です。

 
そういえば、1969年は『クリムゾン・キングの宮殿』といい、ジョー・コッカーの『With a Little Help from My Friends』といい、紹介してませんがフリートウッド・マックの『ENGLISH ROSE』といい、強烈な顔ジャケが連発されているのですが、一体何があったのでしょうか

話を『浅丘ルリ子のすべて 心の裏窓』に戻しますと、アートワークを手掛けたのは横尾忠則。顔が顔を作り、顔が顔に顔で顔・・・。と、まんだら、そしてモナ・リザとも取れそうな不思議かつ魅力的なアートワークは、未来永劫に顔ジャケの殿堂として語り継がれるべき異色作であることに、異論がある方はいないでしょう。

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