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朝井まかての時代小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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3. 『すかたん』
(2011年)講談社

すかたんとは、大阪弁で「しくじりの多い者、どことなく調子っぱずれな者」を指すとのこと。赴任先の大阪で武士の夫に先立たれ後家になった千里は、帰れるところも職も金もなく、船場の青物問屋・河内屋の上女中になり、お家さんに仕えることになります。そもそも江戸の饅頭屋の娘で、大阪の商家のしきたりもわからない千里は、手厳しいお家さんに叱咤されながらも毎日必死に奉公します。

河内屋の若旦那・清太郎は、皆にすかたんと呼ばれる遊び人ですが、野菜への愛情は尋常ではなく、野菜を作る百姓のためを思い、百姓が直接野菜を立ち売りする許可を願い出る助けをします。これが、問屋仲間の怒りを買い、河内屋は孤立をしますが、問屋と百姓の対立に乗じて私腹を肥やし、陰謀を企てる悪だくみを事前に防ぐことに成功します。

千里は、なにかと清太郎に引きずりまわされ、はじめは迷惑に感じますが、次第に清太郎の情熱にほだされてゆきます。浪華男と江戸娘の言い争いが面白く、またお節介ながら人の好い河内屋の奉公人達、清太郎を慕い助ける田辺村・難波村の百姓達との触れ合いが痛快な作品です。なにより、大の食いしん坊の千里が浪華の味を幸せそうに食べる場面に、思わず笑いが浮かんでしまうこと請け合いです。

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