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朝井まかての時代小説5選

街クリ編集部 街クリ編集部


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2. 『ちゃんちゃら』
(2010年)講談社

浮浪児だった”ちゃら”は、千駄木・植辰の辰蔵親分に拾われ、空仕事をする庭師になるために修行中です。親分やその娘のお百合、同じく庭師の福助・玄林等とともに暮らし、作庭の仕事を続けるうちに、作庭指南で多くの通人を門人にする嵯峨流正法のことを耳にします。この嵯峨流家元の白楊が、ちゃらや辰蔵に次々と悪事を仕掛けて来ますが、彼らはそれに負けず、逆に白楊の陰謀を暴いてゆきます。

親も自分の歳や名前も知らないちゃらですが、植辰の皆の他にも、小川町のご隠居・与右衛門、昔の修行仲間・五郎太、薬問屋の目病みの娘・お留都、貧乏人や病人救済に走り回る妙青尼等とのふれあいで、好きな空仕事の腕を上げ、人間としても成長します。

整地の仕事で雑木を根こそぎ抜いてしまうことに痛みを感じ、伐採によって棲家をなくした狸を庇って職人仲間に殴られ、「報われる、報われねえってことが、それほど大切だとは思わねえです。職人にとっちゃあ、今、ここでこうしている、そのことだけが大切です」と言う、ちゃらの職人としてのプライドが清々しい時代小説です。

 

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