• MV_1120x330
  • MV_1120x330

歴代「芥川賞」受賞作おすすめ10選

街クリ編集部 街クリ編集部


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

3. 『岬』
中上健次(1978年)文藝春秋

1975年度下半期に第74回芥川賞を受賞した作品。戦後生まれ初の芥川賞受賞として話題を呼びました。中上健次は現在ではあまり読まれていませんが、日本の現代文学を語る上で欠かすことのできない偉大な小説家です。現在は芥川賞の選考委員を務める島田雅彦や、批評家の柄谷行人をはじめとして、生前はその豪快な人柄から多くの人に慕われましたが、1992年に46歳の若さで惜しまれながら亡くなりました。

アメリカの小説家ウィリアム・フォークナーの影響を大いに受け、部落の出身である自らの出自を舞台とした数々の作品を残しました。中でもこの『岬』は「紀州サーガ」と呼ばれる作品群の一つで、緊密な文体と濃厚な「路地」と呼ばれる中上特有の舞台設定の空気感を表現し、紀州の血族を描き切りました。閉塞した共同体で横溢おういつ する性と暴力の香りは、刺激に飢えた方にオススメです。

 

4. 『限りなく透明に近いブルー』
村上龍(2009年)講談社

1976年度上半期に第75回芥川賞を受賞。同年に群像新人文学賞も受賞しています。単行本・文庫を合わせこれまでに354万部を売り上げ、歴代芥川賞受賞作品の中で単行本・文庫を合わせた最多の販売部数記録を保持しています。

米軍基地の近くに住む若い男女たちが酒・セックス・ドラッグにふける姿を描いた衝撃的なこの作品は、大きな社会現象を引き起こしました。こうして説明してみると過激な小説に聞こえますが、実際に読んでみると内容に反して淡淡とした文体で書かれているので、さほどの嫌悪感もなく読み進めることができます。今でこそ村上龍というと『13歳のハローワーク』(幻冬舎、2004年)や、テレビ番組の司会などのイメージですが、村上春樹と並んで「W村上」と称され、現代文学を牽引した偉大な小説家です。文学を知りたいのなら、必読の一冊です。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP