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歴代「芥川賞」受賞作おすすめ10選

街クリ編集部 街クリ編集部


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7. 『きれぎれ』
町田康(2004年)文藝春秋

2000年度上半期に第123回芥川賞を受賞した作品。町田康はもともと「町田町蔵」名義の作品や「INU」というバンドで1980~1990年代のパンクシーンを席巻したカリスマパンクロッカーでしたが、詩作の発表などを通じ小説も書きはじめ、今では各文芸賞を総なめにし、河出書房新社主催の文藝賞や新潮社主催の三島由紀夫賞の選考委員を務める大御所となりました。

町田康の出身地である、大阪は河内の伝統芸能河内音頭のスタンダードナンバー「河内10人斬り」をモデルに近代小説を解体しようと試みた大長編『告白』(中央公論新社、2005)や、源平合戦をコミカルに描いた『ギケイキ:千年の流転』(河出書房新社、2016)も注目を集め、最近は歴史小説を多く書いています。処女作の『くっすん大黒』では、大黒様の置物に腹が立って、それを捨てようとするも細かいことにこだわってしまい、自家中毒に陥る主人公のどうしようもなさを描きましたが、この作品では町田康得意のダメ人間の描写とコテコテの関西弁を駆使し、働きたくないがためにありとあらゆる策を弄する主人公を描き切りました。一度読むと、関西弁で書かれた地の文が中毒的な効果を発し、頭の中の思考すら関西弁で組み立ててしまうような魔力があります。関西人はもちろんのこと、方言萌えしたい人にもオススメ。

 

8. 『きことわ』
朝吹真理子(2013年)新潮社

2010年度下半期に第144回芥川賞を受賞した作品。西村賢太『苦役列車』とのW受賞で、西村賢太の荒くれ風の見た目とお嬢さんらしい清廉な見た目の朝吹真理子のW受賞で「美女と野獣」と話題になりました。現在『新潮』誌上で『TIMELESS』という作品を連載しています。

この作品は、25年前に別荘でよく遊んでいた貴子と永遠子という二人の女性が、再会することもないまま成長していきます。しかし別荘が取り壊しになるという知らせを聞き、その別荘で再会をし語らうという話です。回想が現在になめらかに差し挟まれ交錯し、いま書かれていることが現在のことなのか過去のことなのか分からない、でもそれがどうでもよくなるトランス感が味わえます。一分一秒に追われる多忙な現代人にこそ読んでほしい名作です。

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