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歴代「芥川賞」受賞作おすすめ10選

街クリ編集部 街クリ編集部


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9. 『abさんご』
黒田夏子(2013年)文藝春秋

2012年度上半期に第148回芥川賞を受賞した作品です。2016年度の三島由紀夫賞を『伯爵夫人』(新潮社、2016)で受賞し、その記者会見で話題を呼んだ元東大総長の蓮實重彦が雑誌『早稲田文学』において絶賛し、それまで全く無名であった存在が一躍脚光を浴びました。歴代最高齢の75歳で受賞したこともさることながら、全文が横書きで固有名詞や、あるものを特定するような言葉がいっさい使われないという作風が大きな注目を集めました。例えば、「家政婦」を指す言葉だけで「新しい家事がかり」「外来者」「あいだに人ふたり入って紹介されてきた者」「家事専従者」と数多くの言葉が使われています。ふつうの起承転結を持つ小説にはもう飽きてしまった! という方にオススメです。

 

10. 『死んでいない者』
滝口悠生(2016年)文藝春秋

2016年度の上半期に第154回芥川賞を受賞した作品。5人の子供、そしてその子供たちが生んだ多くの孫、そしてさらにひ孫のいる一族の長ともいえる人の葬儀の一日を描いた作品です。夜寝る前などに、「人間は死んだらどうなってしまうのか」とふと想像してしまい、怖い思いをしたことはありませんか? 人間は生まれてしまった以上、当然死にゆく存在で、誰しもそれは怖いことだと考えていると思います。また、それにまつわる葬儀という儀式は、厳粛な雰囲気のもとで悲しい気持ちを共有しながら行われるものですよね。

この作品では、そのような重苦しい空気はまったくなく、故人と関係性を持つ葬儀の参加者たちがそれぞれ好き勝手に飲み食いしたり、勝手気ままな思い出話をしながら故人について思いを馳せたり馳せなかったり・・・。愛する人を亡くしてしまった人、死ぬのが怖くてたまらない人に、人間は死んでも存在したことはなくならず、朗らかに世界は続いていくということを教えてくれる作品です。タイトルの『死んでいない者』は、死んでしまってもう「いない」者である故人と、葬儀に集まったまだ「死んでいない」者をかけてある秀逸さです。

まとめ

これまでに芥川賞を受賞した作品の中から、有名どころからちょっとマニアックなものまで秋の夜長にオススメの作品を10本ピックアップしてみました。どれも純文学のジャンルの中でも読みやすい作品ですので、ぜひ読んで読書の秋を堪能してください!

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