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細野晴臣ライブレポート〜『デイジーワールドの集い』で1年を締めくくれた幸せ〜

加藤広大 加藤広大


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青山に降り立ったロックン・ローラー。鮎川誠

大きな拍手のあと再び司会を挟み、次の出演者にバトンタッチ。長身痩躯、黒眼鏡、ステージに現れたのは、鮎川誠その人でした。

出演者の欄に「鮎川誠アンプラグド」と銘打たれていたにも関わらず、いきなり当たり前のようにギター(エレアコ)のジャックにシールドを挿す鮎川誠、もうそれだけでOKです。まさに不滅のロックン・ローラーが、その夜青山CAYのステージに確かに存在していました。細野晴臣との出会いやギターの説明を嬉しそうにする姿は、最高にキュートでもあり、初めてギターを手にしたような少年の面影を時折覗かせます。

「何、やろうかね?」

と始めた1曲目はボブ・ディラン『All Along the Watchtower』。声といい、気だるく弾かれるコードといい、もはや味の塊です。鮎川誠自身がもうロックン・ロールという楽器になっていると言っても過言ではありません。

で途中、細野晴臣との出会いを語り、その中で

「シーナがね」

という言葉がところどころ出てきます。鮎川誠の奥さんでもあり、シーナ&ザ・ロケッツのボーカルでもあったシーナさん、今年のバレンタインに亡くなってしまいました。だからと言うわけではないのですが、思い出を語る鮎川誠にグッと来てしまいます。

その「シーナ」という口調や抑揚がとても優しくて優しくて、こんなに人の名前を優しく呼べる人に初めて出会いました。もう、横にシーナが見えます。この時点で泣きそうなのですがむしろ泣いてましたけど、やりはじめた曲がシーナ&ザ・ロケッツのアルバム『真空パック』より、『レイジークレイジーブルース』。最後は再び同バンドより『You May Dream』。これ、もちろん原曲はシーナが歌っているんですが、これを鮎川さんが歌うんです。また横に、シーナが見えます。

鮎川誠の深みのある、味わい深い声、しかし、それがさらに“シーナがいない”事実を加速させます。悲しくなってしまいますが、目の前で繰り広げられているのは最高にハッピーなロックン・ロール、もう泣き笑いです。

途中でストーンズのカヴァーもやったのですが、それがすべて吹っ飛んでしまうほどの衝撃でした。子供の頃に憧れたロックン・ローラーは、今も変わらず最高に優しくてカッコよかったのです。と、随分私的になってしまいました。すみません。ちなみに、途中からエレアコどころかエレキギターに持ち替えて弾き語りをしていました。そこはやっぱり生粋のロックン・ローラー、エレキギターが本当によく似合います。

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