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細野晴臣ライブレポート〜『デイジーワールドの集い』で1年を締めくくれた幸せ〜

加藤広大 加藤広大


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2015年ももうすぐ終わりを迎えます。「今年もあんまりいいことなかったなあ」などと鼻をほじくりながら振り返っていたのですが、最後の最後でいいことがありました。タイトルにも掲げたとおり、細野晴臣のライブ『デイジーワールドの集い』に行けることになりまして、素晴らしい夜を過ごすことができました。

ときは12月17日、東京の寒さは限界を突破し、寒風吹き荒ぶ夜の開催となりました。会場の青山CAY周辺には、普段は青山に存在しないであろう出で立ちの方々が、開演前からたむろしています。もちろん、わたしもその中のひとりです。

このライブ、今どき珍しい、整理券を配っての入場となっておりまして、クリスマス間近の青山一等地にて、

「整理番号1番から10番のお客様〜」

と、店員さんが街に似つかわしくない大声で叫び、整理券を片手に寒さに耐えている観覧希望者をどんどんと捌いていきます。

「この感じ、まるで朝9時50分くらいのパチンコ屋だ」そう思いながら、わたしの番号40番台が呼ばれ店内に入ると、既にテーブル席は満杯ながらも後方中央に配置された大きめのテーブルを背もたれ代わりに、ベストポジションを確保することができました。

まさかの喫煙可。上がるテンションと血圧

なぜ、立ち見にも関わらずベストポジションなのかと言えば、そこには、銀色に鈍く輝く灰皿が安置されていたからであります。最近では、多くのライブハウスで禁煙化の波が押し寄せ、愛煙家はよくてブタ箱のような喫煙室に押し込められるか、場所によってはどこも吸うところがない状況に追い込まれます。さらに最悪なのは、出入り口の横に喫煙スペースがあるにも関わらず再入場が不可のため、喫煙所が使用できないというなんとも痛ましい事態です。

いい音楽と美味しいお酒、これだけでも概ね満足なのですが、やはりそこにタバコが加わると喜びは倍増します。一服しながらいい音楽。しかもこれが細野晴臣主催のイベントなのですから、100点満点の設えです。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/12/daisy_photo.png会場の様子。この後ろに灰皿が

しかし、あまりにも普通に灰皿が置いてある光景に、入場ほやほやの喫煙者たちは「ここ・・・本当に吸っていいのかよ? 罠なんじゃねぇのかよ?」とテーブルを囲みながら、「誰が最初にタバコとライターを出すか」というチキンレースが開催されておりました。「ああ、みなさん日頃肩身が狭い思いをしていらっしゃるんだなあ。世の禁煙運動は人をここまで疑心暗鬼にさせるのだなあ」と思いながら、それならみんなで一緒に一服点けようぜ、とゆっくり懐からアメリカンスピリッツとライターを取り出すと、皆ぞろぞろと同じ仕草をしほぼ同時にテーブルを囲んだ数人がタバコを咥え火を点けるという、ライブ前にも関わらず素晴らしいグルーヴが展開されていました。

「最近どこも吸えないっすよね」

「今日吸えるとか最高っすよね」

言葉には出さずとも、心で伝わる喫煙者のジャムセッションをマクラにして、会場の前の方より拍手が起こり“何かが始まる”ことが告げられます。ふと振り向いてステージの方に目をやると、まさかのベース担当伊賀航と、ドラム叩く人伊藤大地の両名が司会をしていました。その演奏能力の高さに反比例して異様に能力が低いMCっぷりという、あまりの落差に微笑ましい空気に包まれる会場。手作りの、気取らない、アットホームなイベントなのだなと期待が高まります。

街角のクリエイティブ ロゴ


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