アートには人の心を動かす力がある。アートで変身した町
台中(台湾)
町の取り壊し計画を中止させた、おじいさんの暇つぶしアート
彩虹眷村中に描かれた作品は、村民のおじいさんが暇つぶしで描き始めたものだ。普通の人が何気なく始めたものが、時にはアートに昇華される。アートかどうか決めるのは技術量ではなく、その作品が持つ力の度量だろう。作品は、村に降りかかった都市開発のための取り壊し計画を取り下げるほどの力を持っていた。そして今でも鑑賞の喜びに応えるべく、絵は描かれ続けている。
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リオデジャネイロ(ブラジル)
芸術家の思いつきから文化遺産へと変身したアート階段
全長125m、215段の階段を2000枚以上のタイルで覆った「セラロンの階段」。チリ人芸術家のホルヘ・セラロン氏が、自宅前の老朽化したこの階段を勝手に改装したことから作品制作は始まった。制作中、彼の元には各国からタイルが届き、それらが階段の至るところに組み込まれている。2005年に文化遺産に指定された。
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パチューカ(メキシコ)
町の治安を改善したストリートアートの実力
先述したブルックリンの「ブッシュウィック コレクティブ」も地域治安改善プロジェクトの一つだが、こちらの場合はメキシコ政府要請の下実施された。スラム街・パルミタスは、ストリートアーティスト集団GERMAN crewによって、地域の子どもも外で遊べるようになった。彼らは住民と共に、2万平方mの敷地の家々を、カラフルに塗ったことで、地域のコミュニティと心のやりとりを活性化させ、人の雇用も生み出したのだ。
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世界の街に溢れたアート作品たち。それが生まれた背景はそれぞれあり、人を不快にも愉快にもさせる。しかし、どちらにしても人の心に働きかける。いつも見ている風景でも、視点を変えて臨んでみると一味違うものが見えてくるかもしれない。