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働かない豚はただの豚だ【連載】神様がボクを無職にした

フミコフミオ フミコフミオ


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先日、ハローワークに出頭しようとした朝、資格証の紛失に気づいてしまったのである。「何をやっているの?」「そんなだらしのない人だから定職に就けないのだ」「スーツを着てハロワに行くのはヤメてください。くだらない見栄を張っているから、いつまでもダメなんです」家人からのハートウォ―ミングな叱責に心が折れる。そしてさとり世代のように悟ってしまう。僕は、ハローワークに出頭することすら叶わぬ、無職カーストの最下層、無職の豚なのだ、と。

知り合いのジジイが趣味でやっている駐車場の手伝いアルバイト。家事全般。テレビゲーム。そして求職活動。それだけをこなしていれば赦される。そう考えていた僕が甘かったのだ。これからの無職、失業者はもっとサービス、ホスピタリティに注力しなければならないのではないか。

そう考えた僕は、家族に対する情報提供サービスをはじめた。定職のない僕の代わりに働いてくれている妻と母が情報化社会から取り残されないように、芸能ゴシップやB級グルメ、食べ放題情報、それから地域の変質者情報や徘徊老人情報をリアルタイムに提供するのである。うまくいったら全国展開のビジネスにしよう。そんな淡い夢も見ていた。

アルバイトの無い日は、「ミヤネ屋」「ヒルナンデス」「バイキング」などのワイドショーを視聴。ワイドショーを観られない妻と母のスマホに情報を飛ばすのである。実施して数日間はまったく無反応であった。見返りを期待しての行動ではないので動じない。やることに意義があるのだ。そして運命のあの日が来た。イケメン俳優である小出恵介さんのアレである。

妻と母はイケメン好きである。一瞬でも早く当該ゴシップを流さねば、妻と母が情報化社会で死んでしまう。僕が「小出恵介さんが大変なことになったよ!(中略)」と家族に伝えたら、「そんなことより、ご自分の無職としっかり向き合ってください。自分の人生から逃げないで」と光の速さで返ってきました。

きっつー。働いていないというだけで、社会に背をむけて逃げているように見えるらしい。逃げられるものなら逃げたいけれど無職はどこまでも僕につきまとってくる。無職はつらいよ。

 

【過去5回の「神様がボクを無職にした」はこちら】
無職の人生は紙切れひとつで救えるのです
東アジアの片隅で哀を叫んだ無職
ソンタクとかいいから仕事をくれ
全部、ノストラダムスのせい
妻に言われた一言で愛は死んだ
無職は冷たい玉座に座る

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