筆者も広告家業でクリエイティブじみたことをやっているが、結局クライアントの言いたいことを体よく代弁している偽物に過ぎないのではないかと我に返ることがある。本物がやりたいと思う気持ちはふいに飛び出すものなのだ。あーわかるわかるよと妙に頷いてしまった。あるあるだ。
その後、「本物」の歌声を前に、舞台袖で呆然と立ちすくむバーナムだったが、本物といいながらもレベッカ・ファーソン本人が歌っていないというまさかの事態に驚いていただけなのかもしれない。
そして何より、この映画は音楽で観客を口説きまくる。「ラ・ラ・ランド」ほどの起伏のあるストーリーではないが、その分よりミュージカルで観客を掴みにかかる。この口説きの姿勢が全体に一貫して流れているので、転ばすまでしつこく技をかける柔道のように、一本取られるしかないのである。それを悔しいととるか、あっぱれととるかはその人によるが、少なくとも筆者は、人は人をここまでしつこく口説いていいのだという「バカへの導き」と捉えました。なので今からナンパしてきます。
軽くあしらわれても『This Is Me』で笑ってごまかそう。
しかし、『This Is Me』って何にでも使えるな。今後クライアントの前で粗相したり、締め切りに間に合わなかったり、歯に詰まった物を楊枝でとろうとしてその楊枝がさらに折れて歯に詰まったら『This Is Me』とやりすごそう。
これが私です。
スタッフの皆様、お疲れ様です!