「オン・ザ・ミルキーロード」
エミール・クストリッツァの最新作、「オン・ザ・ミルキーロード」は、3つの実話とたくさんのファンタジーに基づいて作られている。今年は戦争物の作品が多く公開されたが、彼は本作で見事に独自の「戦争」を描き出した。ご覧になればわかるが、冒頭から完全なるクストリッツァタッチで描かれる独特の色彩感覚、ストーリー展開はファンならずとも癖になることだろう。というか、意見が真っ二つに別れる作品だと思う。
パンフレットは2つの色と、贅沢なホワイトスペースによってエディトリアルされ、ヌケ感と緊張感が見事に同居している。「もう少しアレ入れた方がいいよな」とか「ここ寂しいから何か入れようかな」という無駄さがなく、シンプルで読みやすく、かつ情報量もちょうど良い。
ただ、「クストリッツァ作品を未見の人にはわかりにくいかもしれない」という弱みがある。ただ、これは裏を返せば、彼のファンならば過不足無く楽しめるということなので、ある意味「ファンしか買わねえだろ、っていうか観にこねえだろ」とターゲットを絞りつつ、ギリギリのリテラシーを提供しているという攻めの姿勢が高評価である。
まとめ
以上、簡単だがデザイン(エディトリアル)が素晴らしかったパンフレットたちをご紹介した。もし手元にある、読む機会があれば、ぜひとも読み直したりご一読を。
以下、追伸的に年末までのお知らせですが、来週からは映画評を一本挟んで「2017年サントラ特集」、「2017年公開映画ベスト某」と続きます。それではまた。