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【2017年版】デザインが素晴らしかった映画パンフレット特集

加藤広大 加藤広大


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「タレンタイム 優しいうた」

情報があまり無かったり、リテラシーが無かったりする映画を観る時に、パンフレットがサブテキストとして果たす役割は大きい。

2009年作品ながら、今年初公開(過去、映画祭では上映されている)された「タレンタイム 優しいうた」は、まさにその通りのパンフレットで、映画のなかの「なぜ?」がすべて説明されている。

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詳しい映画の解説は、以前書いた『「タレンタイム〜優しい歌」小細工なしの、とんでもない音楽映画』をどうぞ。

映画の舞台はマレーシアであり、劇中ではマレー語、タミル語、英語、中国語(広東語・北京語)、そして手話を合わせた複数の原語が飛び交うが、マレーシアとはどのような国なのか? なぜ多くの言葉が話されるのか? が丁寧に説明され、複雑な人物相関図も解りやすい。また、相関図とキャストの解説が一緒になっているので、あちこち飛ばなくて良いのも親切だ。

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エディトリアルとしては特に目新しいところは無いが、徹頭徹尾丁寧に、読みやすく、映画の内容を的確に補完しているなど、総じて高評価できる一冊で、何より映画を観た後に読むことで、点と点が繋がり、知識が面になるとともに、大いに余韻に浸れるのが嬉しい。

「パターソン」

ジム・ジャームッシュの最新作にして原点回帰を果たしたとも言える本作「パターソン」のパンフレットも、また記憶に残る一冊である。

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まるで舞台になった「パターソン」で売られている土産物の絵葉書、または観光ガイドブックを見たり読んだりするような、不思議な高揚感に満ちている。また、裁ち落としやノンブルの処理も美しく、一貫したデザイン哲学を感じる。写真のセレクトセンスも象徴的で良い。

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何より好感が持てるのは、映画世界を一切崩さないまま、「日本版のパンフレット」として成立していることで、これはなかなか難しい。また、時折アルバムを見返すようにペラペラとめくりたくなるような、思い出の再生装置としての力も持っている。

街角のクリエイティブ ロゴ


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