第4位 情熱のピアニズム(Michel Petrucciani – Leben gegen die Zeit)/2011年
身長は1メートルほどしか伸びず、骨がもろいためすぐに骨折してしまう骨形成不全症という障害を背負いながらも、文字通り骨が折れるほどの努力と才能で、フランス最高のジャズピアニストと評されるまでに至った、ミシェル・ペトルチアーニの36年の生涯を追ったドキュメンタリーです。監督はマイケル・ラドフォード。
Reference:YouTube
「障害を持っている」なんて聞くと「大変そうだなあ」とか「ハンデがあるのに凄いなあ」と反応してしまいそうになりますが、この映画を観ればそんな偏見と先入観は銀河系の彼方に吹き飛びます。
彼の姿を見て、誰が
- 奥さんに「演奏旅行に行ってくる」と言ったきり帰って来ず、現地で別の女性と結婚してしまう
- 性欲が旺盛でピアノと同様ベッドの中でのテクニックもすごかった(関係者談)
- 気に入った女性はまず「女房だ」と他人に紹介し、後にその通りになってしまう
- ドラッグをキメるのは当たり前
という、もう往年のジャズミュージシャン役満的な生き方を想像できるでしょうか?
彼は言います「僕は人生を150%生きてる、なんでもやってみるんだ。チャレンジして死ぬわけじゃないしね」と。
私は親族にも、友人にも障害を持った方がいるので、あまり偏見は無い方だと思っていたのですが、本作を観て自分は思っていたよりも偏見と先入観を山盛り一杯抱いていたのだと気付かされました。
全国の小中学校で道徳の授業の際に観せるべき、いや唯一観せるべき価値のある素晴らしい1作だと思います。