第2位 バックコーラスの歌姫たち(20 Feet from Stardom)/2013年
今までスポットライトが当たっていなかった人物に光を当てると、思わぬ輝きを放つことがあるように「バックコーラスの歌姫たち」は、バンドのバックで歌う、いわゆるバックシンガーたちに焦点をあてた結果、ヒューマンドキュメンタリーと言ってもいいような「人間」を感じる作品となりました。
Reference:YouTube
ダーレン・ラヴ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、ジュディス・ヒルなど、今までのロック史、ポップスの歴史に常に流れて来た彼女たちの歌声はどうやって作られたのか、どのように機能していたのかが、ミック・ジャガーからブルース・スプリングスティーンまで、ロックスターや関係者の口から絶賛の言葉が語られます。
音楽業界に搾取されて夢を打ち砕かれてしまったり、運がなかったり、フィル・スペクターに騙されたりと、彼女たちの立場はまさに「20 Feet from Stardom」です。
が、そんな彼女たちは底抜けに明るく、歌が大好きで、なんというか本当に精神的に強いんですね。もうそれだけで感動してしまうのですが、音楽は素晴らしく、そして歌うということは何と強い、優しいことなんだと力強く教えてくれます。
まるで、近年のリサ・フィッシャーが「ギミー・シェルター」でソロを取ったときのあの狂気と祝祭と慈愛に満ちた声のように我々に訴えかけてくるかのようです。音楽のなかでも、特に歌が好きな方はぜひどうぞ。