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2010年代の音楽映画「今のところベスト5」

加藤広大 加藤広大


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第1位 はじまりのうた(Begin Again)/2013年

私が書いた街クリのコラムでも何度か登場しているこの映画「はじまりのうた」。なぜ何度も紹介するかといえば、いい映画だからです。

主人公のグレタ(キーラ・ナイトレイ)と彼氏のデイヴ(アダム・レヴィーン)、ふたりは共にミュージシャンで、共同制作者でもあります。そして音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)の3人を中心に物語は描かれます。

Reference:YouTube

グレタは、ニューヨークのライブバーで歌っていたところを、偶然居合わせた落ち目の音楽プロデューサー、ダンに見初められ「レコーディングをやろう」ともちかけられます。

グレタがなんでライブバーで歌っているかというと、イギリスから一緒にやって来た彼氏のデイヴに浮気されちゃって、失意のまま本国へ帰ろうとするのですが、友人のスティーブが気を利かせて「1曲歌っていこうよ」となるんですね。そこで歌ったひとつの歌。ここから物語は「はじまる」わけです。

ダンはレコーディングを提案したものの、彼の最近の実績では予算が降りない。そこでどうするか。デモテープを作るんですね。さらにスタジオ代もないものだから、路地裏から地下鉄構内など、ニューヨークのあらゆる場所で音源を録音しようと試みるんです。

ダンはグレタに提案します。「ニューヨークのありとあらゆる場所で録るんだ」「でも雨が降ったらどうするの?」「録り続ける」「警察が来たら?」「録り続ける」って、このやり取りだけでも泣けるんですが、メンバーを集めて、フィールドレコーディングをしていきます。

プロデューサーのダンも、一回売れたのだけれども今は全然ダメでヒット曲も飛ばせないし、家庭もまったく上手くいっていない。そんななか、グレタを見つけて彼女の才能を引き出して、自分自身も立ち直る/やり直すという。登場人物がそれぞれ「もういちどはじめる」んですね。デイヴやダンの嫁さん、娘さんも漏れなく「もういちどはじめる」のです。

音楽が好きな方や、昔バンドをかじっていた人、ギターを家でちょっとだけ弾いたことがある人、日常生活になんだか訳の分からないもやもやを感じている人、そして、挫折を経験したことがある人には特におすすめの一本です。

余談ですが私、ここ最近は「はじまりのうた」と、ジョン・カーニー監督の次作「シングストリート」、そして名著『誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち』(スティーヴン・ウィット著/関美和訳/早川書房)を見せたり読ませたりするために飲み屋に通っていると言っても言い過ぎではありません。

「はじまりのうた」は、そんな普段伝えたいことのまったくない私が「多くの人に観て欲しい」とお節介な使命にも似た感情を抱いてしまうほどの名作です。もう絶対観てください。つまらなかったらお金返しますので、私のTwitterにでも連絡ください。
 

以上、2010年代の音楽映画「今のところベスト5」でした。まだまだいろいろとあるのですが、今日現在(2017年4月21日)の個人的ベスト5はこの作品たちでございます。もし休みの日にまったく家から出る気がしなかったら、ぜひともいずれかの作品を観てみてください。後悔はさせません。

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