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会社に行きたくない、だから私は妄想する

ゆきびっち ゆきびっち


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冬の朝も、春の朝も、夏の朝も、秋の朝も、私は布団から出ることを拒否し続けていた。アラームは、7時、7時10分、7時半と3回鳴る。その3回のうちに、私は出社するかしないかを決めなければいけない。

熱はない。体調はすこぶる良好だろう。あとは気持ちの問題だ。気持ちしか問題ではない。自分の体温がこもった、生暖かい布団の誘惑は手ごわい。

そんなとき、ふと妄想してみる。もし私になにかしらのことがあったら、正々堂々と出社拒否をできるのではないかと。

ケース1. 電車遅延設定(豪雪、豪雨)

今住んでいる地域に集中豪雨、豪雪が起こったらどうだろうか。もう住民全員の出社意欲を削ぐくらいの量だ。

この地域は比較的高台だし、見る限り古い家屋は少ない。豪雨による床下浸水や建物倒壊などの心配はないだろう。これまででそのようなことが近所にあれば、母も実家の補強工事を検討しているはずだ。幸いなことに今現時点でそういったことはない。誇るべき安心安全の住宅街に感謝したい。

集中する時間も1時間だけでいい。1時間豪雨でも豪雪でも降ってくれれば、このぬるま湯に浸かり続けることができる。

電車は私が使用している線だけが止まる。日本の経済がストップしてはならない。しかし交通網が一時的に麻痺すれば、その後のラッシュは必然だ。人々が狭い車内に押し込まれて、多くの人の体温を直に感じながら車内を過ごさなければいけない。せっかく時間をかけて施したメイクも汗で流れ落ちてしまう。

「今日は絶対、お気に入りのヒールを履きたい」
その日の気分がこうだったとしても、箱詰めの車内で他人の革靴やヒールが私の素敵な靴を容赦なく遅いかかってくるだろう。しかも豪雪の場合、その道には残り雪が想定されるため、ヒールで歩くことはとても難しい。となると、ゴムブーツ一択。再度ゴムブーツに合わせた適当な服を選ばなければいけない。至極面倒だ。

しかも豪雪ならば、待ったなしで近所の人々が雪かきを始めるだろう。まさか若手の私が手伝わないわけにはいかない。母の小言も待ったなしだ。仕事の前の力仕事なんて絶対にしたくない。

幸い今日は晴れらしい。そんな豪雨や豪雪の気配を微塵にも感じないほどの快晴だ。諸々の苦労を味わなくていい、服にもヒールにも優しい青い空が広がっている。

7時のアラームが鳴る。さあ、どうする。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/12/rain-floor-water-wet-69927.jpeg
 

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