そして、終焉へ
わたしは待った。だって、ヨーダも言っていたじゃないか。「フォースの力を信じろ」と。だからわたしは信じて待った。でも、花粉症が治る兆候は、一向にあらわれなかった。天を仰ぎ、ひとりごちる。
「宇宙も暇じゃない、ってワケね･･･」
いいわ。と、わたしは呟く。今日のところは、これで勘弁してあげる。でもね、覚えておいて。必ず埋め合わせをさせてやるんだから。そう、これは敗北ではない。戦略的撤退である。鼻水をぬぐう。振り返る。いつの間にか、ずいぶん遠くまで来ちゃったわね。わたしは、来た道をゆっくりと引き返していく。追い風に背中を押され、また少し視界がにじむ。なんだか涙もろくなっちゃったみたい。うつむいて小さく笑う。今ここにドラッグストアーがあったなら。わたしは思う。きっとこう言ってるはずよ。「すいません花粉症の薬を下さい」ってね。
これが、「絶対におすすめしない、花粉症を根性で治すたった1つの方法」の全容である。なぜおすすめしないかというと、花粉症は根性では治らないからだ。あと、この方法は多分モテない。
ちなみに現在では、花粉症の諸症状を抑える薬の他にも、免疫系そのものにアプローチをする治療法が確立されている。「舌下免疫療法」という。治療期間には3年以上が推奨されている。薬や悟りと比べると長期的な治療ではあるが、今回のように「宇宙」と呟くよりは断然おすすめである。今後も、免疫研究のさらなる発展をお祈り申しあげ、結びとかえさせていただく。
