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「パーティーで女の子に話しかけるには」騙された気分はどうだい?

加藤広大 加藤広大


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それにしても、散りばめられた記号はよく作り込まれている

記号に振り回されてしまうというと、何だか悪く書いたように感じてしまうかもしれないが、これはこれで、好きモノが振り回されるほど丁寧に各要素が作り込まれているということなので、色々と深掘りしたり考えてみるのは楽しい。

例えば、現在YouTubeには本編冒頭映像がアップされている。

Reference:YouTube

そこから簡単に抜き出してみただけでも

主人公の目覚めと共に流れる曲はザ・ダムドの『New Rose』である。ロンドンパンク原初の1曲を冒頭に持ってくるのはまったく正しい。壁には同バンドの『地獄に落ちた野郎ども』、セックス・ピストルズの『勝手にしやがれ』が飾られている。ラモーンズやスリッツ、イギー・ポップの写真やライブのフライヤー、ファンジンの切り抜きなどが貼られていて、ターンテーブルの脇に置かれているのはエディ&ザ・ホット・ロッズの『TEENAGE DEPRESSION』であるのも興味深い。

テレビでは「エリザベス女王在位25周年祝典」のニュースが流れている。この日、セックス・ピストルズはテムズ川でゲリラライヴを行い『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』を演奏し逮捕されている。

また、2分9秒あたりで、エンたちは3人組のテッズに物を投げられている。当時、テディ・ボーイズとパンクスは一触即発であった。チェルシーのキングス・ロードでテッズ達がテレビクルーの前で無残に打ちのめされたのがきっかけとなり、ピストルズは格好の暗殺の的になっていた。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/12/Tdpe_0002_xs_Thomas_Dellert_and_the_Sex_Pistols_1978-e1513167297234.jpg出典:Wikipedia

ジョニー・ロットンがテッズにカミソリで切りつけられたのは、ホープ&アンカーというパブの近くであり、この店の二階はスティッフ・レコードのレコーディングスタジオでもあった。そして、ザ・ダムドの『New Rose』は、スティッフ・レコードから発売されている。

と、他にも、レコード屋のディテールが細かいとか、デートでポゴダンスの練習をする映画は宇宙で初めてとか、いくらでも出てきてしまうのだが、各要素に気を配っていて、いかようにも深掘りできる仕様になっている。

「これくらいならいいだろ」と都合よく時代設定や事実関係を改変してしまうことは良くあるが、本作は嘘をつかずに誠実に作られている。というか、そもそもエイリアンが登場するので、事実関係もクソもないのだが、もう一つのパンクサイド、1977年のロンドン、という舞台に関しては、あくまで現実世界バッチリではなく「我々が映像や画像で観る当時」がよく再現されていると感じる。

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