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「ザ・サークル」大型宗教施設サークルへようこそ

加藤広大 加藤広大


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他にも、メイの行動にコメントを付ける全世界の人々の「顔」が一度も描かれないのはインターネットの表現として新しく、不穏さを駆り立てるが、でも、それって皆思い付いてたけど、やらなかっただけじゃないのか? という疑問を払拭するまでには至らないし、妙な閉塞感がある。物語世界がサークル社のなかだけに収まってしまい、世界や情報が拡張/拡散していくインターネット/SNS的な感じがまったくないのだ。これは前述した宗教っぽさを補強する。

というわけで、良い点もそれなりにある。だが、駄目な点が良い点をピンポイントで狙い撃ちし、ことごとく消し去ってしまっている。ほんの少しのボタンの掛け違いは、本作をとても勿体無い、非常に惜しい作品にしてしまった。面白くなる余地はいくらでもあったし、傑作になっていた可能性すらある。

ときにこの映画、話し合いが殆ど無い。言葉を投げるか、投げつけられるかのどちらかしかない。話し合いをしているシーンに見えても、会話になっていないのである。なので、人と人が話し合うことに徹した「人生はローリングストーン」の対極に位置しているとも言える。

同じ監督でこのぶれ幅は凄い。話し合い方、演出の緻密さ、本の良さ、すべてが対照的である。もし、本作で最も褒めるべき点というか、救済があるとすれば、「人生はローリングストーン」を楽しむための食前酒として観るならば、本作ほど素晴らしい映画は無い。ということであるかも知れない。

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