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「ザ・サークル」大型宗教施設サークルへようこそ

加藤広大 加藤広大


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先程「がっかりした」と書いたが、その理由はこうだ。本作の監督であるジェームズ・ポンソルトは本作の前に「人生はローリングストーン(原題:The End Of The Tour)」という作品を撮っている。

話の筋はローリング・ストーン誌の記者デヴィッド・リプスキー(ジェシー・アイゼンバーグ)が、小説家のデヴィッド・フォスター・ウォレス(ジェイソン・シーゲル)に密着取材をするというものだ。ほぼ会話のシーンのみで構成されており、普段私たちが当たり前に行っている、人と人が話し合うことがどれだけ素晴らしく、贅沢な営みであるかを教えてくれるとともに、「依存」と「疑問」というテーマに見事に切り込んだウェルメイドな作品である。

Reference:YouTube

つまり、ジェームズ・ポンソルトは人間を描くのが(少なくとも「人生はローリングストーン」では)巧い監督なのである。取り立てて何が斬新というわけではないが、細かい心情表現もお手の物だし、気の利いたカットも撮れる。何より食事をしながら、酒を飲んでタバコを吸いながら話し合うシーンをやらせたら、かなりのレベルだと思う。

その監督が本作「ザ・サークル」において、幼少期より常に誰かにウォッチされている、どう考えても主人公と似た境遇であるエマ・ワトソンを主演にし、なぜか道端に落ちている手袋やネクタイなどを延々とInstagramにアップしているトム・ハンクスを巨大企業サークルのCEO役に起用したとなれば、これはもう期待しない方がおかしい。

「アル中の次はSNS依存に切り込むのか。どんな仕上がりになってるのかな? あの会話の感じや食事シーンは出てくるかな? ああ、楽しみだな。面白いといいな。皆にどうおすすめしようかな」とワクワクしながら観に行った。その結果どうなったか。鑑賞後、私は六本木TOHOシネマズ最寄りの喫煙所で雨の中、東京タワーをぼおっと眺めながら「どうしよう・・・おすすめできない」と立ち尽くしていた。

本当に監督はジェームズ・ポンソルトだったのか、ジェームズ・ポソンルトみたいな、よく似た名前の人だったのではないか、何度も確認したが、どうやら彼の作品で間違いないらしい。

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