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10年後、20年後に再び出会って感動した音楽5選

加藤広大 加藤広大


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Pink Floyd『Time』

音楽的価値もさることながら、ジャケットデザイン、売上枚数、あらゆる意味でロックの金字塔とも言えるピンク・フロイドの1973年作品『The Dark Side of the Moon』のなかから、個人的に聴くと死にたくなる曲ランキング不動の1位、『Time』でございます。

Reference:YouTube

このアルバム、高校生の時にはじめて聴いたのですが、もう何が何やら分からず、それこそ狂気を感じたのみで「これは、俺の人生に、必要ないものだ」とお蔵入りしていたのですが、大人になるに連れて色んな曲を聴き、デザイン業を生業にするようになり、ジャケットを手掛けたストーム・ソーガソンを知るに至って、「そういや持っていたな」と再び聴き直したところ、曲の素晴らしさもさることながら、歌詞に完全にやられてしまったんですね。

この曲に関しては論より証拠、ということで、意訳も意訳なんですが、ちょっとかいつまんで書き出してみます。

お前は何も準備をせずに、時間を無駄にする
故郷の狭い世界で怠惰に過ごし、誰かが道を指し示してくれることを待ちながら

お前は若く、人生は長い
今日もまた退屈な一日
そんなある日、10年もの歳月がお前を通り越して行ったことに気付く
誰も走り出すタイミングを教えてはくれない
スタートの合図も聴き逃していたのだ

お前は太陽に向かって走り続ける
太陽はお前を置いて地平線に沈む
そしてまた背後からお前を抜き去っていく
お前から見た太陽は何も変わらないが
お前は確実に歳をとっていく
息も切れ切れになり、一日一日と死に近づいていく

Pink Floyd『Time』

みたいなね、みたいな歌詞なんですけど、歌詞なんですけど! もう大人になってから聴いたら絶望ですよ。時間を無駄にしたあんなことやこんなことが脳裏に浮かんでは消えていきます。

私は音楽でこんなに怖い体験をしたことがありません。しかし、怖い思いをすると分かっていても、何度も聴いてしまうほどに美しく、時に激しい傑作です。

Sex Pistols『No Feeling』

世界三大パンクバンドの筆頭、セックス・ピストルズが1977年にリリースしたアルバム『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols』に収録されている1曲です。紹介する『No Feeling』の邦題は「分かってたまるか」、担当者の分からなさ加減が趣深いタイトルですね。ジェイミー・リードが手がけたアートワークは、誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

Reference:YouTube

ちなみに世界三大パンクバンドとは、一般的にセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ザ・ダムドを指しますが、ザ・ストラングラーズが入るケースもあります。その場合、どのバンドを抜くかについてはフォアレターワードと血飛沫ちしぶきが飛び交う過激なパンク論争に発展する場合がありますので、花園神社の近くでうっかり話してしまわないように注意してください。

さて、この曲、「セックス・ピストルズという伝説のパンクバンドがいる」との情報を得た田舎のガキである私は、喜び勇んでアルバムを購入し、プレイヤーにかけたわけなのですが、「なんだか曲が遅い、くぐもっている、派手さがない、☆1です」と、AからはじまってNで終わるサイトのレビューのようなファッキン感想を抱いてしまったのです。

メロコアを聴きはじめ、他にもミッシェル・ガン・エレファント、ブランキー・ジェット・シティなどに被れていた時分ですから、遅く感じてしまうのは仕方ないのですが、それにしたって酷い感想です。自転車のチェーンで殴られても文句は言えません。

が、これまた一周戻って聴いたとき、「なんだか曲が遅い、くぐもっている、派手さがない」という感想は一変し、「曲の速さはベスト、意外と演奏がタイト、むしろ職人芸すら感じさせる」と、手の平をくるっと返すことになります。

このアルバム、実は凄くてですね、プロデューサーのクリス・トーマスはプロコル・ハルムやロキシー・ミュージックなどを手がけていますし、エンジニアのビル・プライスはガンズ・アンド・ローゼズやザ・クラッシュを手がけています。と、そんな能書きを垂れなくとも、良く聴けば分かります。特にギターのスティーヴ・ジョーンズは、一定の評価はされているものの、まだまだ評価されるべきだと思います。

街角のクリエイティブ ロゴ


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