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映画「たかが世界の終わり」で感じたのは、現実以上の体感だった

こいぬまちはる こいぬまちはる


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そこからのクライマックスへの流れは、もうサスペンス映画さながらの緊張感で張り詰めている。画面は静かなのに。

世界を終わらせようと口を開いたルイを強引に阻み、殴りかかろうとする兄。その兄を攻め立てる母と妹。

ここで一瞬映るのです。兄がルイを黙らせようとして恫喝している間、机の下で強く握り合っている兄夫婦の手と手が。繊細で今にも崩れそうな兄とそれを必死で捕まえる兄嫁。そのワンカットで理解するのです。誰が1番家族を見つめていたか、守ろうとしてきたか、その世界を終わらせまいとして。

ルイも見るのです、涙で濡れた顔と、殴りかかってきた兄の拳の傷を。家族には兄に殴られた跡はない、きっと兄が壁や物を殴って自分を抑えていたのであろうことを。その傷だらけの拳と兄役のヴァンサン・カッセルの真っ赤になった顔がゆっくりと映し出されるカット。もう、こちらも涙でぐしょぐしょになりました。

全員が許してほしいと心で叫んで、でも誰もが誰も許していない。誰かを許す時、この世界が終わると分かっているから。

観終わった後、がっつり疲れました。3時間くらい観たかのように。
 

私が「ドラン監督すげー!」と最も思っているのが、監督の作品が「わたしはロランス」を除き2時間未満だということ。なのに、そのどれもが2時間以上の体感なんですよね。27歳でこんなのを何本もやっちゃうんですよ。一般的に作品時間がどんどん長くなる傾向にある中で、これ、何気にすげーって思います。

出典:「たかが世界の終わり」オフィシャルFacebook

色んな切り口で、同じようなテーマを出して、その都度体感をさせてくれる監督、マンネリの心配はしていません。つまらないマンネリを撮るセンスの監督ではない、と現時点では確信していますから。

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