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映画「たかが世界の終わり」で感じたのは、現実以上の体感だった

こいぬまちはる こいぬまちはる


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映像はその5人の顔のアップや1点に焦点を合わせたもので、呼吸の浅さ深さ、目線、浮き出る汗がありありと映し出されていく。説明的なセリフもなければ、分かりやすい出来事も起こらない。「見て感じて読み取ってくださいね~」ということなのだが、不親切でも分かりづらい訳でもなくただただ「リアル」だった。

その場の空気や相手の表情、声色を読み取るなんてことは、普段誰もがやっていることであり、普段の生活で物事をいちいち言葉で説明したり、分かりやすい出来事が起こることはほとんどないから、どんなに不器用な人でもある程度は自然と読み取って生きているのだろうと思う。ドラン監督は、その読み取る導線を丁寧に映し出していくのが上手い。

息子との久々の再会に浮き足立つ母と妹、不穏なものを感じて不機嫌な兄、ずっとルイに対し敬語でぎこちなさが抜けない兄嫁。ド派手な青いマニキュアが乾かないと愚痴る母親、それをなじる妹と小競り合いがあり、うんざりする兄と気まずそうな兄嫁。ルイが到着する前の数分間の描写で、家族それぞれの性格や立ち位置、距離感を見せていく。

そして母親の「ゲイは綺麗なものが好きなのよ」の一言を挟み、ルイがゲイであり、家族もそれを知っているという流れも見せている。

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