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今野敏のミステリー小説まとめ

街クリ編集部 街クリ編集部


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3. 『曙光の街』
(2001年)文藝春秋

警視庁公安部外事一課・倉島達夫警部補が主人公のシリーズで、警察小説とも国際陰謀小説とも言えます。以下『白夜街道』(出版社はいずれも文藝春秋)『凍土の密約』『アクティブメジャーズ』『防諜捜査』の計5作が刊行されています。

配属から2年、公安の仕事に高を括っていた倉島に突然与えられた任務は、ロシアから日本のヤクザを暗殺しに来る殺し屋を食い止めることでした。ヴィクトル・タケオビッチ・オキタという名の殺し屋は、元KGBのスパイで日露の混血。このヴィクトルにかかわることで倉島は本来の公安の仕事と、本物の諜報部員の恐ろしさを知ることになります。ヴィクトルは、元KGBの上司で現在はマフィアになっているオギエンコ、右翼の大物・大木天声、ヤクザの組長を守る元プロ野球選手・兵頭、ロシアから来た絶世の美女・エレーナ等と関わりながら金で請け負った仕事を片付け、その裏にあった陰謀をも暴き出します。

本作の主人公は倉島というよりヴィクトルで、倉島については公安での目覚めが描かれたと言えます。続く『白夜街道』にもヴィクトルは登場し、少し公安らしくなった倉島とロシアで巡り会います。『凍土の密約』では、さらに公安らしくなった倉島が4件の殺人事件とロシア人の殺し屋、第二次世界大戦末期の国際的な密約を結び付け、最後にエース級公安捜査員のための研修に呼ばれます。

こうしてみると、このシリーズは国際的な陰謀とその捜査に直面しての倉島の公安捜査員としての成長を描いた作品であることが分かります。御多分に漏れず、公安対刑事の対立等、警察の内部事情も描かれますが、国際スパイが登場しアクションもあるため、より壮大なエンターテインメント小説になっています。

まとめ

いずれのシリーズも、堅物、弱気だけど冷静、やる気がないといった主人公の性格設定が、単に硬派な警察小説と一線を画しているから面白いのです。次から次へと作品を読み進んでいってしまう中毒性があります。旅行に1冊だけ持っていくと、続編が読みたくなって辛いかもしれません。

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