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ミステリー小説入門編10選

街クリ編集部 街クリ編集部


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読書は、ある意味暇つぶし。その中でも、ミステリーは眠気も心配事も忘れさせてくれる、極上の暇つぶしと言えます。数あるミステリーの中から、初心者でも楽しめ、癖になってしまう10冊をご紹介いたします。

1. 『慟哭』
貫井徳郎(1993年)東京創元社

本作では、新興宗教にはまってゆく松本を描いた章と、幼女連続殺人事件の捜査責任者である捜査一課長・佐伯を描いた章が交互に進んでゆきます。松本は仕事もなく娘を亡くして胸に虚無の穴を抱えており、佐伯はやり手の若手キャリアでありながら捜査本部では浮いており、妻や娘との関係も冷え切っています。

この二人の男を交互に描写することによって読者にある意味で錯覚をもたらし、それが後半の章によって一気に収束していく時の意外性には誰もが驚くはずです。そして、最終章で刑事がどうして彼がそんなことをしてしまったのかを犯人にたずねるのですが、その答えが人間の心の闇を表しており、怖く、哀しい、重い雰囲気を漂わせます。読後感は決してよくはなく、しばらく辛い余韻が残る衝撃作です。

 

2. 『検察捜査』
中嶋博行(1994年)講談社

第40回(1994年)江戸川乱歩賞、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いたリーガル・サスペンスです。横浜地検の2年生検事・岩崎紀美子が、市内で斬殺された大物弁護士・西垣文雄の事件の捜査をするうちに、事件の裏に隠された検察庁、裁判所、弁護士会の確執に突き当たり、巨悪に立ち向かうことになります。主人公・岩崎紀美子の組織に屈せず、自分の信じるところを曲げない姿勢、対抗する警察組織との関係等が潔く描かれますが、なんといっても本作の醍醐味は著者が現役の弁護士であるからこそ描ける法曹界の内側が暴かれている点ではないでしょうか。検察官不足、検察の公判専従論、検察至上主義、そして検察官としての捜査方法等、未知の世界を知る楽しみが味わえます。

 

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