3. まなざし
この「溺れるナイフ」はリアルな心理描写が特徴の一つだが、原作において、その心理描写を表現するものとして「まなざし」がまず一番に挙げられるだろう。原作で描かれる少年少女の瞳には、色や大きさは違えど炎が宿っているように見える。嫉妬や、衝動、劣等、優越・・・感情によってゆらゆら揺らめく、美しい炎だ。その「まなざし」が映画ではどう表現されているか、とても楽しみである。
出典:YouTube
4. コウがまぶしすぎる
コウは「神さん」だったのだろうか。コウは、主人公である夏芽が「欲しいのはこの子だけだ」と思う存在として描かれていて、衝動的で、自由で、暴力的でもあり、しかしどこか弱く繊細さを感じさせる、そんな少年である。また、実は読書家でもあり、原作ではカミュの『シーシュポスの神話』を読むような知的な一面も持つ人物としても描かれている。
そのコウを演じるのが、今最も旬な俳優・菅田将暉である。山戸監督は「“幻想の少年”として菅田将暉を撮りたかった」とコメント。間違いなく「少年」菅田将暉の遺作になるに違いない。
出典:YouTube