4. 美しい光とファンタジー
「君の名は。」の世界では、いつも美しい光が主人公である三葉や瀧たちを照らしています。だからこそなのか、キャラクターはとても生き生きと動き回っているように見えるし、よりファンタジー性が強くなっているように感じます。
もちろん先ほど述べたように身体と時間が入れ替わるのもファンタジーですし、それ以上に新海監督の過去作品である「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」では叶わなかった運命の人と結ばれることが最後の最後に叶ってしまうという、甘美で少し危険なファンタジーなんだと思います。
今までの過去作品では、「結局、運命の人なんていないし、いたとしてもその人と結ばれるなんてことは現実的にはないんだよ」的な突き放し方をする作品が多かったけれど、今回は違います。ああ、わたしもこんな恋愛がしたい。まぁ無理ですが・・・。
5. ポップな色彩
これは新海監督作品に共通して言えることですが、とにかく色彩が綺麗。とくに「言の葉の庭」から彩度が高くなって、よりポップな色使いになってきたように思います。なんでもこの映画のターゲットは「思春期の人」らしく、その人たちに刺さるような色彩設計になっているようです。
新海監督の言う「思春期の人」とは10代後半から20代前半らしいのですが、より具体的に言うと「一人で、“今ここ”ではないどこかに思いを馳せている人たち」ではないのか、と考えました。そういった一人の時間を持っているのは、恐らく10代後半から20代前半の若者だけではないと思うんですよね。だからこそこんなに大ヒットしたのだと思います。
出典:「君の名は。」予告篇