日本中のバーや居酒屋はもちろん、宅飲みから路上まで、夜毎(24時間と言ってもいいですが)繰り返される聖なる酔っ払いたちのへべれけコミュニケーションは、大概は不毛なものです。しかし、酔っ払って意識が混濁、呂律も頭も回らない中でなぜか時折キラリと光る印象に残る名言を吐く方もいらっしゃいます。
その言葉は酩酊状態にありながらも、ふと考えさせられたり、良いこと言うなあと感心してしまったり、椅子からずっこけてしまったりと、なかなかどうして趣深いものでもあるのです。
私はほぼ毎日の飲酒活動が日課と言いますか、音楽と映画を除いてはほぼ唯一の趣味と言ってもいいくらいでして、日々真剣に鯨飲し酔っぱらいと対峙しております。1人で飲み始めてもう10数年になりまして、まだまだベテランの酒飲みには負けますが、酒場で飛び交ういろんな言葉を聞き続けてきました。残念ながら大半の会話はすべて忘れているのですが、そのちぐはぐな記憶の中から、今回は偉大なる酔っ払い達が遺した「なんとなく名言っぽいもの」や、面白かったものをいくつかご紹介させていただきます。
1. 俺等の生き様、しっかり見とけ!
初めて入ったバーでいきなりカウンターの中に入れられて働かされ、客の隣で飲み始めた店主が自分に向かって突然言い放った一言。なぜ働かされたのかは未だもって分からない。
2. ところで、てめえ誰だ?
上のいきなり働かされたバーにて2時間ほど働いていたところ、突然店主が自分に向かってメンチを切りはじめ放たれた一言。一応経緯を説明したところ、理解はできたが納得はしていないようだった。
3. 奥さんは元カノ
所帯持ちが「彼女がさあ・・・」と言い出したので「◯◯さんって奥さんいましたよね?」と確認してみたろころ、決め台詞のようにドヤ顔で語られた一言。一瞬感心してしまったが、よく考えたら大したことは言っていない。
4. マイルスはまだ聴こえている
音楽バーでマイルス・デイヴィスが流れている時に、アウトロの余韻を楽しんでいたいかにもジャズ好きなおっさんがボソッと言った一言。含蓄がある言葉のようにも思えるが、実際は自分の耳次第なのでそうでもない。
5. マイルスはもう聴こえていない
上記のおっさんの連れがすぐさま反論した一言。この後「マイルスはまだ聴こえている派」「マイルスはもう聴こえていないよ派」による論争がおこなわれ、ヒートアップして声量が大きくなってしまったため、店員に叱られることとなる。