それが分かった瞬間、A君はサァーーーッと血の気が引いちゃって
「おえっ、ゔぉえっ」
思わずえずいちゃったんだけれども、それで少しだけ正気を取り戻せた。携帯電話を取り出して、グーグルマップを開いたんです。しかし、電波は入っているのに、どうにも位置情報が取得されない。
「なんとかしてくれよ、なんとかしてくれよ」
祈るような気持ちでホームをウロウロしても、自分の居場所は分からない。駅の名前を調べても、何も出てこない。
再び背筋がゾクーッとしちゃって、もう手もぶるぶる震えちゃって、なんとか声を絞りだしてね、助けてもらおうと友達に電話したんだ。
「おい、おれどこにいるんだろう?」
「何言ってんだよ」
「いや、電車で知らないところに来ちゃって」
「駅名は?」
「C駅っていうんだけど、調べても見つからないんだよ」
「そんなわけあるかよ」
「本当なんだよ! 調べてくれよ! そうだ…写真送るから誰かに聞いてくれよ!」
もう藁にもすがる思いでね、A君は写真を撮って友達に送ろう…としたところで、いきなり後頭部をがつーーーんと殴られたような衝撃を受けて、気を失っちゃった。
どのくらいたったのか、A君が目を覚ますと、そこは終電で滑り込んだはずの駅のホームだったんです。あまりに不可解な出来事に、しばらくぼーっとしていると
ブーン
ブーンブーン
ブーンブーンブーン・・・
携帯が鳴ったんだな。
その電話は友人からで、A君が出ると、開口いちばん彼はこう言ったそうです。
「おい、お前が送ってくれた写真、なんか光がいっぱい飛んでて、どこか分からねえよ」