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まったく怖くないどこかで聞いたことある怖い話

神えみし 神えみし


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小田さんが主に大田さんの言葉にためらっていると、小林くんの懸命そうな声がますます強くなってきました。

「小田さん! 早く開けてくれ!」
「絶対開けちゃダメだよ小田さん!」
「ウッホウホウホホーーーー!!!」

愛する人を信じるか、コミュ症のこいつらを信じるか、小田さんはパニック状態でした。

小田 小林くん! あなたは昨夜ガードレールにぶつかって死んだはずよ!

小林 違う! 死んだのは俺じゃない! 大田たちの方だ!

小田さんはその言葉に反応して大田さんたちの顔をみました。すると、大田さんの顔は真っ白で頭から血を垂らしていました。ゴールデンボンバーのファンだった小田さんは「やだ、樽美酒みたい・・・」とちょっとテンションが上がりまいたが、すぐに思い直し我に返りました。

ついでに横にいたゴリラの顔も見てみると、いつも通りのゴリラ顔でした。ゴリラはいつでも安定しています。

ビジュアル系とゴリラとこのまま一緒にいるよりは、早く小林くんの顔が見たいと願った小田さんは、ドアの鍵を開け外に出ました。すると、なぜか小田さんは病院のベッドにいました。目の前には涙を流した小林くんが立っていました。私服はやはりダサいままです。状況が理解できない小田さんに、小林くんは私服がダサいまま説明してくれました。

それは、××山道で小田さんたちが乗っていたバスが崖から落ちたこと、バス運転手と大田さんが即死だったこと、奇跡的に小田さんの命は助かったこと。

興奮して説明する小林くんをぼんやり見つめながら小田さんは気づきました。バスの中で見た悪夢は夢じゃなかったのだと。そして、あのままコテージのドアを開けなければ大田さんにあっちの世界に引きずり込まれていたかもしれないということを・・・。

小田 ちょっと待って! 大林くんはどうだったの?

小林 ああ、あのゴリラか。安心して、あいつは野生のゴリラに還ったよ。

小田 そう。それは良かった。

ゴリラの安否の確認もとれた小田さんはほっと胸をなでおろしました。

小林 それじゃあ、俺先生呼んでくる!

病室の出口から先生を呼びに行く小林くんの後ろ姿を見て小田さんは思いました。「あいつ、やっぱり私服はだせえな」と。
 
 
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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