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アートディレクターと家族【連載】広告代理店の現役アートディレクターが語る

中村征士 中村征士


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自分の結婚式のスピーチで「僕たちは二人ともデザイナーです、これからどんな家族をデザインしていくかを見守ってください」みたいなことをしゃべりました。今年結婚14年目になります。子供は二人。今ではデザインするというよりも、ブランディングする感覚に近いかもしれません。

ブランディングの仕事でアートディレクターの主な役割は、ビジュアルでお客さんの印象をコントロールすること。僕がそういう仕事をしているので、家では絵がよく登場します。たとえば、子供がなにか伝えたいときに、言葉だけで説明しようとするも、なかなか要領を得ない。こんな時、僕は(場合によってだけれど)紙とペンを渡して、伝えたいことを図や絵にしてもらうようにします。すると頭の整理ができて、誤解なくスピーディーに伝えられることがあります。これは僕がふだんやっている仕事と同じことで、相手にストーリーの全体像を伝えるときや、自分がイメージしているディテールを説明するときに有効です。あと、新しい考え方を伝えるときにも使います。

こんなふうに仕事の影響が家庭に出ることがあります。ラッキーなことに僕は趣味の延長のような好きな仕事をしているので境界が曖昧なのかもしれません。

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