★ 超訳英語のポイント
○ when lost / when won
通常、英語の文法では When you lost the race(お前がレースに負けたときは)と書くのが正しい文法ですが、今回はあえて「you」を飛ばしています。日本語ではよく I / you といった主語を飛ばして話しますが、英語でも格言っぽく話したいときに、主語を飛ばすことがあります。
有名な「主語飛ばし」ではこんな格言があります。
When in Rome, do the Romans do.
(ローマの中では、ローマ人のように振舞え=郷に入れば郷に従え)
こちらも本来はか you are まで飛ばしWhen you are in Rome, do what the Romans do. であるところを、主語はおろか you are まで飛ばして表現しています。「どこを省略しても格言として通じるか」を考えられるようになったら、あなたも英語上級者の入り口かもしれませんね。
がんばりやの翔にはピッタリや
実は私、主人公よりも競合校にいた御堂筋というキャラが好きで好きでたまりませんでした。基本的に主人公の自転車部は「自転車が楽しいから頑張る」とか「仲間のために勝ちたい」と、続きはジャンプでやっておくれよと言いたくなる動機で自転車レースへ挑む生徒が多かったのです。
しかし競合校の御堂筋君だけは、別格でした。
お母さんが病気で、いつも病院へ通っていた御堂筋 翔(あきら)。通院で鍛えた脚力で、自転車競技を始めます。お母さんにそれを報告すると、こんな言葉をもらうことができました。
お母さん「ステキな乗りものやな がんばりやの翔にはピッタリや」
翔「ピッタリ」
そこから、翔はレースで勝ちをもぎとっていきます。
翔「前に 前に もっと・・・前にや!!」
引用:渡辺航(2008年)『弱虫ペダル』秋田書店
しかしその後お母さんの病気は悪化。ついに最後の手術となってしまった面会で、こんな言葉を残しました。
お母さん「翔・・・がんばってな・・・・・・何があっても 前 進むんやで」
引用:渡辺航(2008年)『弱虫ペダル』秋田書店
それまで、お母さんのいる病院へ行って笑顔を見るために楽しんで自転車を漕いでいた翔。しかしお母さんが亡くなってからは遺言となった「何があっても、前に進む」勝利をもぎとるためにチームメイトを「ザク」呼ばわりして利用する無慈悲なプレイヤーとなってしまったのです。
その後、主人公チームとの対戦は読んでのお楽しみとさせていただきますが、人が良かれと思って遺した言葉が時に人生をにごらせる結末を招きうると、この残酷な遺言に学んでしまいました。
これを英語で再現してみましょう。
お母さん「ステキな乗りものやな がんばりやの翔にはピッタリや」
Mom: That’s a nice ride. That suits to the hard working boy like you, Akira.
お母さん「翔・・・がんばってな・・・・・・何があっても 前 進むんやで」
Mom: Akira, keep working……Keep going forward even if I’m gone.