SF編
1. 『時をかける少女』
筒井康隆(1967年)角川書店
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テレビドラマ、映画化など実写化にて長年愛されている書籍です。中学3年生の主人公芳山和子は、理科の実験室にてラベンダーの香りを嗅ぎ意識を失ってしまう。その後にいくつか事件が芳山和子の周りに起きるがその翌日に同じ風景が繰り返されていることに気づく。タイムリープに巻き込まれてしまった芳山和子と出会うのが2660年の未来で暮らしている深町一夫。
この2人の出会いによって物語が進んでいく不思議なSF小説になっています。2010年に公開された実写化映画は芳山和子の娘が時をかけるという新設定が盛り込まれおり話題となりましたが、それと同じくらいにアニメ版にて主人公の声を務めた仲里依紗さんが映画にも出演することでも話題になりました。またアニメ映画は細田守監督が手がけていて実写映画の20年後、2006年を舞台にした少し変わった派生作品になっているので原作小説と合わせて見ると面白いです。SFジャンルの検索ランキングでも上位に食い込む作品となっています。
2. 『流星ワゴン』
重松清(2005年)講談社
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主人公の永田一雄は、人生に絶望を感じていました。会社からリストラされ、離婚を切り出され、何もかもやる気をなくしていたところに父親が病気で入院しているという連絡を受けます。小さいころからあまり父親をよく思っていなかった一雄ですが、見舞いにいくことに。その後気分を紛らわすためにお酒を飲んでいると突然現れた車に乗ることになり、その車を運転するのは5年前に死んだはずのある事件の被害者。
彼は人生の分岐点に行くことができるといい、二人は人生をやり直すために過去に遡ることに。旅を続けていくうちに現在の自分と同じ年の父親が突然現れます。一緒に分岐点をめぐることになりますが、そこで子供の頃には知らなかった父親の想いを知ることになります。その体験により一雄の価値観が変わっていく・・・というストーリー。2015年に永田一雄を西島秀俊さん、父親を香川照之さんが演じた実写ドラマも話題になりました。
3. 『きまぐれロボット』
星新一(1966年)角川文庫
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お金持ちの主人公エヌは、博士が作った最高傑作のロボットを購入する。料理を作ったり、部屋を片付けたり、話し相手になってくれる万能のロボットですが、ただのロボットではなくきまぐれで突然暴れだしたりエヌの元から逃げ出してしまったりするところがありロボットを作った博士にエヌは文句をいいますが博士は「それでいい」と一点張り。
そのうちロボットと暮らすエヌに、ある転機が訪れます。このロボットをめぐったお話をはじめとして子供でも読める1話3ページほどの短いお話が全部で35話が詰め込まれた短編集になっています。飽きずにたくさんの話を楽しみたい方におすすめの小説です。SF要素をぎゅっと感じることができる素敵な作品です。
4. 『ソロモンの偽証』
宮部みゆき(2012年)新潮社
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第3部に分かれている長編推理小説になっていて「第1部事件」「第2部決意」「第3部法定」と事件と一緒に時が流れていきます。第3部の法定で最初に起きた殺人事件の内容が明らかになっていきます。学校内で突如起きてしまった同級生の転落死を校内裁判で突き止めていくという部分は一緒に裁判に参加しているような臨場感があります。
長編なのでゆっくり時が流れていくところが楽しいです。「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」にて第2位にランキング入りしたことでも有名です。2015年には「前篇・事件」「後篇・裁判」の2部作で実写映画化が公開されています。2部に分かれているので、じっくりと世界観を表現していてかなり完成度が高くおすすめです。
5. 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
東野圭吾(2012年)角川書店
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「ナミヤ雑貨店」に訪れるこそどろの男3人は、突然雑貨店に閉じ込められて手紙が投げ込まれます。オリンピックの候補生として将来に不安を抱く女性や、現実と夢との間で揺れ動いている男性など手紙の中には差出人からの悩みが書かれています。悩みが1話形式となっていて、こそどろの彼らがそれぞれの悩み事に向き合っていくという物語です。
第5章まであり、それぞれの主人公の過去と現在に向き合っていく姿を描いています。ミステリーやサスペンス小説を多く手がけている東野圭吾さんが描くSF・ファンタジーの世界は他のSF小説とは違い、綺麗に伏線を回収しながら読むことができるので一味違った読み応えを感じられます。2013年には舞台化、2017年には映画化されました。映画は主演を山田涼介さんがつとめたことでも話題になりました。また中国でも映画が公開される名作小説です。
ミステリー・推理
1. 『すべてがFになる』
森博嗣(1988年)講談社
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15年前に両親を殺害したプログラマーが誰も入ることができない密室で殺害されていたという事件をキッカケに様々な殺人事件が繰り返されていきます。繰り返される殺人のトリックを一緒に考えながら読み進めることができるので、事件の真相に向かって暴かれていく伏線にドキドキすること間違いなし。森博嗣さんのデビュー作とは思えない完成度に驚かされます。
『すべてがFになる』をはじめ主人公・犀川先生が謎解きをする作品はシリーズ化されているので、気になった方は他のシリーズも読んでみてください。またキャラクターデザインを浅尾いにおさんが手がけたことでも話題になった2015年公開のアニメ版、2002年には浅田寅ヲさんが作画を手がけコミカライズ化、2014年には武井咲さんや綾野剛さんが主演をつとめ実写ドラマ化など派生作品も多いので、合わせて楽しんでみてくださいね。
2. 『悪の教典』
貴志祐介(2010年)文藝春秋
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「このミステリーがすごい!2011年版」にて1位を受賞した作品。主人公の蓮実聖司は、私立高校の英語教師。生徒からも親しまれる教師で仕事も身のこなしも完璧。ですが「サイコパス」と言われる人格障害を持っていて今まで隠していた素顔が明らかになっていきます・・・。自分の妨げになるものはあらゆる方法を使って抹殺していく裏の顔と表の顔のギャップが読んでいてホラーを感じさせます。
殺人要素やサイコホラー要素を詰め込みながら事件には伏線が張られているミステリーな部分も盛り込まれていて読んでいてつい世界観にのめり込んでしまう作品です。2012年には主人公を伊藤英明さんが演じたことでも話題になった実写映画化が公開されました。またコミカライズ化では結末が少し変わっているので派生作品として是非触れてみてくださいね。
3. 『ラットマン』
道尾秀介(2010年)光文社
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アマチュアロックバンドがスタジオで練習していると、ある事件が発生します。その事件により、14年間一緒に過ごしてきたメンバーの今まで知らなかった顔が明らかになっていきます。そして素顔があばかれるごとに、事件はどんどん真相に近づいていきます。細かく伏線が散りばめられていて、最後に一気に伏線を回収される時の気持ちよさがたまらない小説です。
思い込みから起きる殺人事件をテーマにしているので、私たち読者も先入観で犯人を予想してしまいますが、最後に真犯人が分かり度肝を抜かれることでしょう。道尾秀介さん得意のミスリードがたっぷり楽しめる作品になっていて、主人公と一緒に謎を解いているような気持ちになれます。ミステリー小説が好きな方には是非読んで欲しいです。全て読み終えたあとにもう一度最初から読み返したくなるそんな小説です。
4. 『探偵はバーにいる』
東直己(1992年)早川書房
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東直己さんによる『ススキノ探偵シリーズ』の第1作目。ススキノのあるバーの片隅で、いろんな仕事を請け負う便利屋が主人公。雑用だけでなく探偵のような仕事も受けたりすることもあります。ある日、行方不明になってしまった恋人を探して欲しいという依頼が彼のもとに入ってきます。調べていくうちに他の事件との関連性が明らかになっていき・・・というストーリー。
運転手と相棒を兼ねている高田とともに、不思議な事件の真相を解いていきます。ハラハラドキドキしながら推理を読み進めることができます。2011年には、大泉洋さん、松田龍平さんが主演をつとめた映画が公開されました。人気がある実写映画となっており、2013年に第2作、2017年に第3作が公開予定になります。映画をみることでより「探偵はバーにいる」の世界観に浸ることができるので、小説と合わせてぜひ見てみてくださいね。
5. 『百舌の叫ぶ夜』
逢坂剛(1986年)集英社
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「百舌シリーズ」と呼ばれている逢坂剛さんが描くミステリー・サスペンス小説。過激派集団によって巻き起こされた爆弾事件によって主人公の倉木警部の妻が亡くなってしまいます。犯人を突き止めるために個人で動き回っている時に同じ事件を追っている大杉警部捕と出会います。そして彼と行動していると、妻はただの爆発事件に巻き込まれたわけでなく、事件にはかなり闇があるということが分かってきます。
誰が犯人か、誰が味方なのか敵なのか疑心暗鬼になりながら読み進めていく文章がクセになります。『百舌の叫ぶ夜』と同じシリーズの『幻の翼』の2作を原作として、2014年に実写ドラマ化がされています。主演を西島秀俊さんと香川照之さんがつとめていることでも話題になりました。また「劇場版MOZU」やスピンオフドラマとして「大杉探偵事務所」が放送されました。
6. 『姑獲鳥の夏』
京極夏彦(1994年)講談社
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ミステリー作家として定評のある京極夏彦さんのデビュー作、『百鬼夜行シリーズ』の第1弾としても有名な書籍。「20ヶ月も子供を身ごもっている」という普通じゃありえない妊婦の噂や、人の疾走、呪いなど連続に不可解な事件が起きていきます。小説家の関口巽と古本屋を営んでいる陰陽師としても活躍している中禅寺秋彦が真相に向かって謎を解いていきます。
2013年には志水アキさんによって漫画化がされていて「コミック怪」で連載されていました。また2005年には、堤真一さん、永瀬正敏さんが主演を務める実写映画も公開されています。原作者である京極夏彦さんも俳優として登場していて、映画に合わせて少し小説とは違うセリフが付け加えられているので注目してみてくださいね。
7. 『夏の王国で目覚めない』
彩坂美月(2011年)早川書房
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ミステリー作家・三島加深のファンサイトにアクセスした後日にメールが届きます。そのメールはジョーカーという人物からの「架空遊戯」というツアーへの招待状でした。ツアーの謎を解くことによって、大好きな三島加深の未発表小説を貰うことができるという報酬に向かって高校生の主人公の美咲が謎を解いていくミステリー小説です。
複雑な環境で暮らしている美咲の心理描写も切なく、共感できるところも多いです。現実とは違う人格を演じる美咲にも注目です。ライトノベルのようにシンプルに書かれているので普段小説を読まない方も読みやすい文面になっています。少し恋愛要素がプラスされているので、甘酸っぱいミステリーを感じられることができる小説です。