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好きな人にプレゼントしたら嫌われそうな小説5選

岡田麻沙 岡田麻沙


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沼正三『家畜人ヤプー』(1999)幻冬舎

「なぜ」と呟かずにはいられない度No.1、トンデモSM汚物スキスキ系小説の王様、『家畜人ヤプー』のお出ましだ。幻冬舎アウトロー文庫で全5巻。1巻を読み終えたときにはきっと、「これでまだ5分の1だと? 沼正三はいったい、何を考えているんだ!」と、白目を剥いて叫ぶはず。

ドイツに留学中の瀬部麟一郎と彼の恋人クララの前に、奇妙な円盤が出現する。中にいたのは未来帝国EHS人の美女、ポーリーン。二千年後の未来を支配しているという帝国EHSでは、白色人種の「人間」に、日本人の家畜「ヤプー」が飼育されているという。「ヤプー」たちは、奉仕する喜びを徹底的に教え込まれ、積極的に「人間」に服従するようになる。人間椅子に舌人形、唇人形など、人体改造も目白押しである。

圧倒的な世界観。うんざりするような長さ。終わりなき主従関係。沼正三に問いたい。なぜこれを書いたのか。誰が得をするのかと。そして、なぜ私はこの本を、何度も読んでしまうのか、と。
『家畜人ヤプー』に、言葉はいらない。全5巻、無言でプレゼントしてみよう。

 

姫野カオルコ『受難』(2002)文藝春秋

修道院で育った主人公女性・フランチェス子の性器に人面瘡ができた。この人面瘡、あろうことか毒舌の男性(?)である。フランチェスコは彼(それ)に「古賀さん」と名前を付け、友好的な関係を築こうと試みる。
設定が全部おかしい。情事の描写も、大変なことになっている。以下は主人公のフランチェス子がクスという男性と事に及ぼうとしたシーンだ。

「ああん、いやいや、やめて、いけないわ、でも、ほんとはいいわ」
シナをつくって古賀さんが言うと、クスはフランチェス子の頬をばしんと叩いた。
引用:姫野カオルコ『受難』(2002)文藝春秋、p.190

おかしいだろ
人面瘡が行為のさなかに喋っているのも変だし、口にする内容も正直すぎる。こんな風に古賀さんは、折に触れて主人公のふりをし、奇妙な言葉を口走る。フランチェスコはそれに困惑したり、助けられたりする。「ど、どういうことなの・・・」と呟きながら読み進めるうち、物語は超展開を迎える。主人公と人面瘡の急接近。めくるめく恋の予感
とにかく、折り紙付きの珍書である。セクシャルな局面におけるあらゆる幻想を打ち砕く、からからに乾いた姫野作品。贈られた方は色んな意味で、深読みせずにはおられない。

 

まとめ

以上、聖夜のフラグをバッキバキにへし折る、選りすぐりの5冊をご紹介した。気になるものはあっただろうか。皆さんが素敵なクリスマスを過ごすことを心より、本当に心よりお祈り申し上げ、結びとさせていただく。

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