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10年後、20年後に再び出会って感動した映画5選

加藤広大 加藤広大


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デス・プルーフ in グラインドハウス

2007年公開のアメリカ映画で、監督はクエンティン・タランティーノ・・・。そんなことは毛ほども思っていなかったのですが、もしかしたら私、実はタランティーノ好きなのかもしれません。知りたくもないことを知ってしまいました。

Reference:YouTube

さて、男性に限っては、知りたくもないことを知ってしまう確固たるものが女子会における女子トークでしょう。私、以前バーテンダーを生業にしていた頃に、何度も漏れ聞こえてきたのですが、「女の子同士の本当にエグい話」は、ここではとても書けません。本作では、そんな女子トークが縦横無尽に繰り広げられます。

しかし、観た当時はそこまで響かなかったんですよ。そこかしこで囁かれたように、タランティーノが挑戦した「女子」の無駄話はややだるく、おそらく「ああ、またやっているな」程度の色眼鏡で観てしまったと思います。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/M/MV5BZWQ2ZGM0YTEtNjg5Ny00MDQxLWI0ZTktNTQyZWYwY2U4ZTZjXkEyXkFqcGdeQXVyNTIzOTk5ODM@._V1_.jpg出典:IMDb

ですが幾星霜いくせいそう、いろんな経験を積んだ後に観たこの映画は、もうとんでもない傑作で、特筆すべきは、あれだけ「だるーい、何言ってるかわかんなーい」と駄々こねながら薄目で見ていた女子トークが、もうリアルもへったくれも超越して、これこそタランティーノ流無駄話の到達点だと思えるほどに素晴らしい。なぜこんなにも完璧な「話し合い」を見逃して、聴き逃していたのか、不思議で仕方がありません。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/M/MV5BNzVhOGJiZWEtMDA5YS00NjYyLWExYmUtMmVlYTdhYmEyMjIzXkEyXkFqcGdeQXVyNTIzOTk5ODM@._V1_.jpg出典:IMDb

他にも、それまでタランティーノが発症していた日本フェチ/オタクみたいなものが消え去っているのも好印象でした。

タランティーノ特有の小ネタ、流儀を抜きにしても、何よりスタントマン・マイク(カート・ラッセル)がヘッドライトを点け、行動を起こす刹那の狂気は、後半のグラインドハウスの内容が一切入ってこないほどの凄まじさ。観ていない人も、観た人も、繰り返し鑑賞して損は無い作品です。ぜひご視聴を。

ドラえもん のび太の海底鬼岩城

あまりに有名すぎて説明不要ではありますが、人間の欲望という欲望を不思議なポケットひとつで叶えてくれる未来デパートの上顧客、ネコ型ロボット(自称)ドラえもんと、愉快な仲間達(眼鏡、筋肉、髪型、清楚系ビッチ)が繰り広げるひと夏の大冒険が「ドラえもんのび太の海底鬼岩城」です。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/07/doraemon.png

画像は大人の事情により、色抽出したドラえもんです。お察しください。

いつものメンバーで「この夏は海に行くか山に行くか」で揉めた結果、「じゃあ海底火山なら両方あるからいいじゃん」とドラえもんの大岡裁きで決定した旅行は、巨大イカに襲われるわ、自称海底人は出てくるわ、自動報復装置「ポセイドン」が地球を破壊しようとするわ、それはさすがにヤバいんでちょっと地球救いましょうかと、波乱万丈のひと言。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/shutterstock_41279875.jpg巨大イカのイメージ

当時、小学生の頃でしょうか、観た時は無邪気に楽しんでいただけですが、今見返すとこれがなかなかに深いのです。

分かりやすい物語の裏を返してみれば深海、光の届かない暗闇の恐怖、AI、核弾頭、異種族との交流、機械に宿る魂(のようなもの)など、正統派SFストーリーのキーワードが随所に散りばめられているのを感じられるのは大人になった今だからこそ。

しかしながら、決して難しくはないんです。難しいことを簡単に表現するほど難儀なものはないですが、本作では監督、芝山努の手腕により、まるでポセイドンの如く鉄壁のエンターテイメントに仕上げられています。

これは「ルパン三世 ルパンVS複製人間」を見直したときの感じにも似ています。ちなみに、本作の監督である芝山努は、ルパン対ではレイアウトをやっていましたね。 パイロットフィルムのキャラデザ、作画監督も務めていました。

さて、穿うがった見方しかできない大人になった今、ラストシーンでしずかちゃんが大事そうに手のひらに握りしめていたあのネジは、「バギーちゃんのものではなく、ひょっとしたら爆散したポセイドンのものではないか?」と思い至るのも味わい深く、涙無しには鑑賞できない特級品です。

そんなわけで、ごく個人的な思い出も入り恐縮ですが、「10年後、20年後に再び出会って感動した映画」をテーマにいろいろと書き連ねてみました。まだまだあるのですが、締切が近いのでこの辺で。

夏ももう残り僅かですが、ぜひとも冷房の良く効いた部屋のなかで、お気に入りの飲み物を用意して、昔観た映画を見直してみてください。おすすめです。

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