ファイト・クラブ
「トゥルー・ロマンス」にブラッド・ピッドが出演していたという理由だけで立て続けに見直した「ファイト・クラブ」も、改めて観ると目からウロコの作品でした。監督はデヴィッド・フィンチャー。
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当時は「トレインスポッティング」や「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」など、ちょうどお洒落映画的なものが流行していた時期でして、私が生まれ育った田舎では、それらを観ていないやつはダサいという、とてつもなくダサい思想が蔓延していました。
さらにこじらせた私は「ブラッド・ピットならやっぱりジョニー・スエードが最高傑作だよね」としたり顔で言っていたのですが、今では当時の自分を捕まえてぶん殴りたい気分でいっぱいです。いや、いい映画なんですけどね、「ファイト・クラブ」と比較するのは完全に間違っています。
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さて、当時の私は「ファイト・クラブ」は単純にブラッド・ピッドがお洒落に殴りまくる洒落乙な映画だという、端的に言ってかなり阿呆な感想を抱いておりました。あと、ストーリーの意味がそこまで理解できていなかったという致命的な欠陥により、「まあ面白いかな」程度の心持ちだったのです。要は「ながら見」していたんですね。真剣に向き合っていなかったのです。単純に「ファイト・クラブ」を「観た」ということだけでステータスだったのです。改めて当時の自分を捕まえてぶん殴りたい気分でいっぱいです。
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これが今観るとどうなるか? 感想を述べると長くなってしまうので、一気
涎が出るほどに興味深いナレーター(エドワード・ノートン)の諸症状や、自助グループに通う重病の患者たち、ファイト・クラブに集う男たちの機微は社会に出て仕事をして、何とか頑張って生きている今だからこそ理解できるし、心に強く響きます。
そして何より、ラストの屋台崩しならぬビル崩し。一部の隙もない、まるで引き締まった筋肉のようにビルドアップされた傑作です。
ナチュラル・ボーン・キラーズ
なんだかバイオレンス系ばっかりで申し訳ないのですが、90年代の暴力映画番長と言えば、筆頭に挙がるのはやはり「ナチュラル・ボーン・キラーズ」でしょう。監督はオリバー・ストーン、原案はクエンティン・タランティーノ、またお前か。
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ミッキー・ノックス(ウディ・ハレルソン)とマロリー・ノックス(ジュリエット・ルイス)のカップルが行く先々で大乱闘、大
本作と再び出会ったきっかけは、実は街クリで「スウィート17モンスター」という映画のサントラ評を書いたんですね。その作品に出ていたのがミッキーを演じたウディ・ハレルソンで、見直してみようと思い立ったわけです。
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これまた初見のときは、「うわー音楽かっこいいなー。殺しまくりだなー。途中で入ってくるあのイメージ何? ラスベガスをやっつけろ的な?」と、やっぱりボキャブラリー欠乏症の極地みたいな感想を抱いていたのですが、今考えれば、これはバイオレンス映画とドラッグムービーばっかり観ていたので脳味噌がスポンジになっていたのではないかと、ふと思いました。
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で、どうなったかと言いますと、本作は音楽面での嬉しい出会いがありました。最初に観た時もパティ・スミス、レナード・コーエンとの
その曲がカナダのロックバンド、「カウボーイ・ジャンキーズ」の『スウィート・ジェーン』。言わずと知れたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーです。トロントのトリニティ教会で録音された、『トリニティ・セッション』という名盤中の名盤に収録されております。
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つつみ込むようなマーゴ・ティミンズの
ここですっかり感動してしまった理由はもうひとつありまして、ちょうど去年、カウボーイ・ジャンキーズの来日ライブを観に行ったんですよね。十数年前に観た映画と、数年前に好きになったバンド、そしてライブ体験が、ある日一本の線で繋がるという感覚は、まさに至福の二文字です。
このような突然の出会いがあるから、物を観たり、聴いたり、読んだりすることがやめられないのです。そんなことを再確認させてくれた大切な作品となりました。